Kids' Health~お子さまの健康維持について~
<お子さまの心の不調の対処法>
新しい環境に馴染めないお子さまもいらっしゃることでしょう。
お子さまの心のケアについてお聞きしました。
シンガポール日本人会クリニック
臨床心理士・公認心理師 坂牧 円春 先生
Q. 「 学校に行きたくない」と訴えるお子さまのSOSとは?
A. 頭痛や腹痛、吐き気、時には暴言を吐くことも
「行かなくてはいけない」と分かっていても身体が動かず、頭痛や腹痛、吐き気として症状に表れることもあれば「行きたくない!」と強く訴え、時には暴言を吐いて登校を嫌がることもあります。
【主に考えられるその背景や要因の例】
・ 友だち関係がうまくいかない
・ 勉強が難しくついていけない
・ 先生に怒られることが怖くて不安になる
・ 規則や指示に従わなければならないことに苦痛を感じる
・ 過去の学校での嫌な体験を思い出し不安になる
・ 環境の変化に慣れるまで時間がかかる
・ 昼夜逆転するなど生活リズムが狂い、気力がない
・ 家族が不仲など家庭内にストレスがあり、外に出る気力がない など
ここにあげた以外にもさまざまな要因が影響していることがあります。同じ状況に置かれても、不登校につながらないお子さまもいます。さまざまな要因があるからこそ、改善方法や解決策は一つではありません。
Q. お子さまの心に寄り添う方法は?
A. 背景を考え、少しずつ自信やエネルギーを取り戻せるようにしていきましょう
どのようなアプローチがご家族とお子さまにとって最適なのかをカウンセリングを通して一緒に考えます。
【さまざまなアプローチと改善例】
・ 担任の先生とゆっくり話すことで、信頼関係が生まれ登校できるようになった
・ 毎日良いところを具体的に認め続けたことで、自己肯定感が高まり少しずつ登校できるようになった
・ 転校したことで、言葉が通じコミュニケーションが取りやすくなり安心して登校できるようになった
・ 発達障害の特性の理解を深めたことで、親御さんの関わり方が変わり、学校でもアプローチを工夫してもらえるようになり、少しずつ登校するようになった
・ 夫婦でのコミュニケーションが増え、夫婦関係が良くなり、登校するようになった。
お子さまにとって、学校に行くことが全てではありません。しかし、学校という場は社会経験を重ねていく重要な場の一つです。
たとえ学校に行けなくても、社会とつながる場、たとえば、サッカーチーム、塾、アート教室、友人とのプレイデート、ボランティア活動、手芸教室などに通い、自分の好きなことや得意なこと、自分の役割や存在価値を感じていくことも人生を生きていく中では大切な経験になります。そのような経験を積み重ねる中で、少しずつ自信を取り戻して困難な場面に向かっていけるようになるでしょう。
お子さまの健康維持や心のケアが気になりながらも、実際に病院を受診する機会は少ない、という方もいらっしゃることでしょう。
Springでは、日系及び日本語で相談できる病院・クリニック・歯科の先生方にご協力いただき、当地での健康維持に役立つアドバイスをいただきました。
連載でご紹介しています。
海外で生活を送るご家族の皆さまが安心して過ごせますよう、今号ではお子さまのウィルス性のイボと心の不調の対処法についてご紹介します。