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予防接種について

ヘルスウェイジャパニーズメディカルセンター 佐藤健一医師

シンガポールで生活する中で、特にお子さんがいる家庭では予防接種について悩まれることが多いと思います。シンガポールと日本では、接種する種類にどのような違いがあるのでしょうか。

接種ワクチン

 実施すべき予防接種は、世界各国で大きく異なるわけではありません。ただ国によって流行や使用するワクチンは異なります。日本で一般的に行う予防接種を全て終えた場合でも、シンガポールで接種の必要性が高いのはA型・B型肝炎・日本脳炎です。「日本」とついていますが、東南アジアでも流行していますので油断はできません。

シンガポールでお勧めする予防接種は以下の通りです。

・BCG ・ロタウイルス ・不活化ポリオ
・三種混合(DPT) ・二種混合(DT) ・麻疹・風疹・おたふくかぜ(MMR)
・水痘 ・日本脳炎 ・インフルエンザ菌b型(ヒブ) ・肺炎球菌(PCV13) ・インフルエンザ
・A型肝炎(HAV) ・B型肝炎(HBC) ・ヒトパピローマウイルス(HPV)

※環境によって接種をお勧めするもの
・破傷風 ・狂犬病

 また、日本とシンガポールでは使用する薬剤に違いがある場合もあります。

(例)

・経口ポリオ→不活化ポリオを使用
・麻疹・風疹(MR)・おたふくかぜ→MMRを使用
・肺炎球菌(PCV7)→PCV13 を使用

接種方法

 シンガポールで行う予防接種はWHO(世界保健機関)の指示とシンガポールの実情を合わせたものとなっています。使用する予防接種も輸入されたものを使用しているため、接種方法も世界の標準的な方法に準じたものとなり、日本のやり方とは異なる場合があります。一番戸惑うのが、日本では皮下注射で行われるものが、シンガポールでは筋肉注射で行われることではでしょうか。(多くの方は筋肉注射のほうが痛いと思っていますが、実際は針が刺さるときの痛みは同じであり、液体が入るときの痛みは、皮下注射よりずっと少ないと思います)

?同時接種と混合ワクチン

 シンガポールでは、同じ日に複数の予防接種をうつ「同時接種」や、複数の病気に対するワクチンを混ぜた「混合ワクチン」を接種することは普通に行われています。同時接種の大きな利点は受診回数が少なくすむこと、混合ワクチンの利点は注射の回数を減らせることです。この同時接種と混合ワクチンを組み合わせると、かなり効率的に予防接種を済ませることができます。同時接種は、ほぼすべての予防接種で実施可能ですし、混合ワクチンも4種類、5種類、6種類が混ざったワクチンが世界中で使用されています。

 予防接種は、年齢や今までの接種歴、更に疾患の流行状況にも左右されます。効率よく接種するためには必ず母子手帳を持参の上、医師に相談されることをお勧めします。

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