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笑顔になれるコラム

vol.8 「中学受験と心の成長」

2017.01.10

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古今東西、子育ての悩みは尽きません。特に海外では、海外ならではの環境も加わり、悩みは深くなりがちです。Springでは、これまで当地で数多くのご家族を見守り、支えてきた専門家の方からの温かいメッセージをお届けしています。

ena シンガポール校 校長 久保 祐二先生

ena シンガポール校 校長 久保 祐二先生

私はこれまで、米国ニューヨーク、デトロイト、英国ロンドン、東京渋谷などの教室を経て2015年からはシンガポール校で海外生の受験指導に取り組んでまいりました。国が違うと学校事情も大きく異なり、米英に比較するとシンガポールでは、帰国生とはいえ国内の一般受験と引けを取らない学力で難関校に挑戦するお子さんも多いことに当初は驚きました。このような環境の中で、親御さんの中には周囲の学力の高さに圧倒され、ご自身のお子さんの勉強について必要以上に心配される方も多いようです。

学力の向上は、机上の勉強だけで達成できるものではありません。多くの海外生と国内生を見てきた経験から言えるのは、特に中学受験においては年齢的に、子どもの「心の成熟度」の差が、受験の成功に大きく影響するということです。例えば小学校の6年間、自宅から学校までスクールバスで往復し、寄り道をする機会も無く、子どもだけで遊んだり電車に乗ったり買い物をしたりする機会が限られているシンガポールでは、ある意味「子どもっぽいまま」受験の年齢に達するお子さんを多く見受けます。特に男の子は、心の成熟が女の子よりも遅い傾向にあります。

日本国内で育ったお子さんと比較すると「幼い」印象のお子さんたちは、中学受験に向けた心構えだけでなく、国語や英語の読解問題、社会科や公立中高一貫校の「適性検査」のような、周囲の社会や人々の心情への理解が求められる試験問題を難しく感じるようです。中学受験では不本意な結果だった男のお子さんが、その後の成長に伴って高校受験で難関校に見事合格した例もあります。つまり中学受験は早熟なお子さんほど向いていて、ここで失敗してもそれがその子の実力やその後のポテンシャルを示しているとは限らないのです。

海外での子育てでは「帰国枠」で有利になる受験や、ネイティブ並みの英語学習など、お子さんに求めるものが多くなりがちです。しかし、海外ならではの経験も大切にしつつ、意外と「普通の体験」こそが、お子さんの心を育てることを忘れないでほしいものです。

周囲に流されて受験や志望校を決めるのではなく、そして「初めに学力ありき」ではなく、まずは日々の生活の中でお子さんの心の成長を促せるような環境を大切にしてほしいと思います。

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