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世界が注目!「こぐま会」代表 久野 泰可(やすよし)先生による教育講演会

2017.06.23

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「大切な幼児期に何をどう学ぶのか」

5月上旬、幼児教育の第一人者として知られる久野泰可先生による教育講演会が、シンガポールの学習塾KOMABAにて行われました。テーマは「大切な幼児期に何をどう学ぶのか」。教育者として常に現場に身を置き、多くの教材・教具を開発。45年におよぶ確かな指導経験から完成させた独自のカリキュラムは、アジアを中心に海外の幼稚園・教室で導入され、高い評価を得ています。久野先生が提唱する幼児教育の真髄とは何でしょうか。教育講演を取材しました。

「こぐま会」代表 久野 泰可(やすよし)先生による教育講演会「大切な幼児期に何をどう学ぶのか」

教育講演より

「幼児教育」にこそ、最大の投資を

「幼児教育」の重要性は以前から世界各国で論じられてきました。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン氏は「国家経済の発展のためには幼児教育にこそ最も投資すべきである」という研究を発表し、世界中の注目が集まりました。日本でも、幼児教育についてさまざまな試みが行われましたが、「どんな教育内容が必要なのか」という具体的な方策に関しては、長い間、模索が続いているのです。

遊びか、知育か?

日本では、「勉強は小学校から」「幼稚園では遊び保育を中心に」という伝統的な考えが根幹にあります。「幼児教育」イコール「小学校受験のための早期教育」という固定観念があるゆえに、幼児期の「知育」が軽視されがちなのです。

一方で、「早期教育」にこだわるがあまり、幼児期にペーパー中心の勉強をどんどんやらせるご家庭もあります。読み・書き・計算は基礎として非常に大切ですが、この時期に誤った方法をとると、お子さまによっては小学校に上がる前にすでに勉強が嫌いになってしまう場合もあるのです。

「学習の土台」である「考える力」を身につけるべき幼児期

私はこれまで幼児教育の現場で実践を重ねながら、幼児教育のあるべき形について、理論の確立に取り組んできました。教育行政の間では「早いうちから読み書き計算を徹底してやればいい」という考えで改革を進めようとしていますが、これは間違っています。もちろん「読み書き計算」は大事な基礎学習ですが、幼児期に必要なのは教科の前段階としての「基礎教育」、つまり「学習の土台」である「考える力」を身につけることなのです。これができて初めて、読み書き計算もその後の幅広い学習においても、子どもは持てる力を発揮できるようになるからです。

「認識能力(=考える力)」を身につけるには

心理学者ピアジェは、人間の「認識能力(=考える力)」について、「徹底して教え込むグループ」と「具体物を与え自分で考えさせるグループ」の2つで実験を行いました。前者は教わったことを最初の数年しか認識しておらず、後者は長期間にわたりずっと認識し続けていたという結果が明らかになりました。

つまり人間の認識能力は、教え込まれて身につくのではなく、物事に働きかけ自分で試行錯誤をしてこそ身につくのであるとピアジェは結論付けました。

久野先生よりもう一言

学びは日常の中でも

幼児期の教育は、生活や遊びの中にあります。それを将来の知的な教育につなげられるかどうかはご家庭の環境次第でしょう。まずはできるだけ「具体物」を用いる、自分の考えていること、感じたことをきちんと「言葉」で伝える力をつけてあげることが大切です。そして、これができないとダメなんだ、といった厳しい評価や、結果をマルとバツだけで測るのではなく、毎日お子さまとの「対話」の実践を積み重ねていきましょう。

幼児は日々前進しています。それを上手に手助けしてあげるのが、お父さんお母さんの大切な役割なのです。

「こぐま会」代表 久野 泰可(やすよし)先生

幼児期の学びを支える「3つの教育理念」とは

1. 教科前の「基礎教育」の実践
小学校の教科学習を前倒しで進める学習ではなく、「考える力」をつけよう!

2. 「事物教育」の実践
具体的な物に、子どもが自ら働きかけながら考えていく工夫をしよう!

3. 「対話教育」の実践
言語を通して思考を育てる教育を。親子で「対話する」体験を重ね、自分の考えを言葉で表現できるように導こう!

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