桐朋女子中学校・高等学校 国際教育センター
熊野 孝先生
海外の学校に初めて登校する朝の緊張、大昔の帰国生として私もよく覚えています。でも当時は子どもを送り出す親の気持ちなんて全く想像できませんでした。新たな環境で、お子さま方は色々悩みながらも、それぞれのペースで確実に実力をつけていきます。でもその陰には日夜お子さまをサポートする親御さん、特にお母さま方の存在があるはずです。「英語がわからず宿題の意味がわからない」「そもそも宿題があるかどうかもわからない」そんなところから始まる戦いの日々。お子さまとの二人三脚。気がつくと夜も更けている。そんな毎日を繰り返しておいでのお母さま方も多いのではないでしょうか。
一時帰国されて学校見学にお見えになった際などにお話しさせていただくと、「自分がもっと英語ができれば、子どもをもっと助けられるのに」などとおっしゃるお母さまが結構多いです。でもそれは全然違うと私は思います。「必ずしも英語ができるわけではないお母さんが、自分のために苦労して、毎晩一緒に勉強してくれる」と感じることで、お子さま方は次の日の学校生活に立ち向かう勇気が出ます。「自分も不完全だけど、努力を続けることに意味があるんだ」と現在の自分を肯定できるようになります。何よりお母さまが側で支えてくださることで、気持ちが安定します。その結果「自分が頑張らなくては」という意欲が自然と湧いてきて、比較的短い期間で現地校や国際校での学習に対応できるようになったお子さま方に、これまで何人も出会ってきました。
いつ終わるかわからない「戦いの日々」を過ごしてらっしゃるお母さま方、そのお姿を見ることでお子さまは確実に成長しています。毎日の積み重ねは、必ず明日につながります。東京から応援しています。頑張ってください!
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