海外生・帰国生へのヒント
立命館宇治高等学校 2年生 西澤 桃さん「シンガポールで得た力を糧に単身日本へ」

シンガポールに生まれて

私はシンガポールで生まれ、中学校卒業までを過ごしました。日常生活や学校で英語を使用する機会が多かったため、小学生の時は登校前に英語のテープを聴きながら音読することを習慣にしていました。中学では、シンガポール日本人学校中学部の「グローバルクラス」という英語に特化したクラスに入り、担任のネイティブスピーカーの先生と日々会話をするだけでな く、主要科目を英語で学ぶことで英語力を磨きました。

シンガポールは出会いと別れが多く、日本のように同じ友人と長い年月一緒に学校生活を送れることは珍しいことです。私は幸いにも、同じようにシンガポールで生まれ育った友人に出会うことができ、12年間苦楽をともに分かち合うことができました。受験で辛かった時に相談し合ったり、空手の試合で苦しかった時に励ましてくれたりと、笑顔が絶えない毎日を送れたのは彼女のおかげです。私たちは親元を離れてそれぞれ別の高校に進学しましたが、今でも励まし合いながら頑張っています。

立命館宇治高等学校 2年生 西澤 桃さん「シンガポールで得た力を糧に単身日本へ」
 幼稚園の夏祭りにて

 

大切にした日本の文化と心

シンガポールで過ごした15年間は、あえて日本の文化に触れ日本人としての心を育むよう、幼い頃から書道や空手などの習いごとをしてきました。小学3年生から始めた書道は、中学3年で最高段位である8段に到達し、中学1・2年生の時には書道パフォーマンスにも挑 戦しました。毎週4時間の練習がとても大変で、挫折しそうになることもありましたが、何度も練習を重ね、本番ではたくさんの人が感動の涙を流すほどのパフォーマンスができました。その時の感動は、今でも忘れられません。

立命館宇治高等学校 2年生 西澤 桃さん「シンガポールで得た力を糧に単身日本へ」
 熱心に励んだ空手

 

自らの意思で日本の高校へ

シンガポール生活も充実していましたが、日本人として母国で教育を受けてみたいと考え、自分の意思で日本の高校へ通うことを決めました。学校選びでは、今の英語力を維持・向上するため帰国生の受け入れ体制が整いネイティブスピーカーの先生が多く在籍することを重視しました。また、学校見学の際に、運動部の生徒がいきいきと活動している姿を見て、文武両道を大切にしている点も決め手になりました。

帰国生入試は一般入試よりも日程が早いため、受験勉強を前倒しに することを心掛けていました。面接では「帰国生ならではの視点」をよく聞かれるので、シンガポールでの生活を丁寧に振り返り、自己分析をするようにしました。一時帰国の際には、学校を見学し、登下校や 部活動の様子、制服姿を間近で見るなど在校生の生活を見ることでモ チベーションを維持していました。

シンガポールで培った力を糧に

入学直後は、学校生活に馴染むことができませんでした。学校は京都にあるため友人の話す関西弁がわからない時があり、戸惑うこともありました。 また、中学ではグローバルクラスが少人 数だったため、1クラス40人程度の大人数の雰囲気に最初は圧倒されました。しかし、シンガポールで出会いと別れを多々経験したことで身につけた「コミュニ ケーション能力」や「物ごとを前向きにとらえる力」で乗り越え、毎日楽しく学校に 通えるようになりました。学習面では、 英語の上級クラスで日々英語力を磨き、充実した学校生活を送っています。

立命館宇治高等学校 2年生 西澤 桃さん「シンガポールで得た力を糧に単身日本へ」
 充実した高校生活

 

海外生へのメッセージ

海外生活の中で、たくさんの人に助けられながら幾多の出来ごとを 乗り越えたことが今の私の自信に繋がっています。将来は私をサポートしてくださった方への恩返しをし、今度は自分が多くの人を笑顔にできるような仕事に就きたいと考えています。

海外で生活する皆さんは、辛いことや戸惑うことも多々あると思いま す。しかし、その苦しいことから立ち上がる経験が糧となり自分自身を強くすると思います。何ごとにもめげずに挑戦してください。受験に向けて頑張っている皆さんが、充実した素敵な高校生活を送れることを願っています。

立命館宇治高等学校 2年生 西澤 桃さん「シンガポールで得た力を糧に単身日本へ」

お母さまより

シンガポールで生まれ育った娘から、親元を離れ日本の高校 に行きたいと言われた時は寂しく、大変心配でした。いざ行ってみるとさまざまな壁にぶち当たりながらも日々逞しくなっていると大きな成長を感じています。離れて2年弱経ち未だに会えていませんが、再会した時にひと回りもふた回りも成長した姿になっていることを今から楽しみにしています。

※立命館宇治中学校・高等学校の詳細はこちらhttps://spring-js.com/japan/1032/2/

- 編集部おすすめ記事 -
渡星前PDF
Kinderland