世界の「潮流」を把握し、
個別最適化の学びを

Crimson Global Academy(CGA) 日本代表
Crimson Education Japan 代表取締役社長
松田 悠介 氏
「いじめ」から生まれた教育への情熱
私は現在、オンラインスクールと海外進学塾を運営していますが、当初からグローバル教育に熱い思いがあったわけではありません。私が教育に携わるようになったきっかけは、中学時代のいじめでした。当時私は勉強もスポーツも振るわず、信じていた友人にさえ裏切られ精神的に追い込まれていました。唯一私を支えてくれたのが体育教師の松野先生で、強くなるために休み時間や早朝に一緒にトレーニングしてくださるなど、親身に「伴走」してくださいました。そのおかげで私はいじめを乗り越えることができ、先生と同じ教師になることで私のような子どもに寄り添いたいと考えるようになりました。
ところが、教員として働き始めるとさまざまな違和感に気づいたのです。学級崩壊している授業では、一般にその原因は生徒にあるとされます。私は教育現場において子どもが悪いということは何一つないと考えており、学級崩壊が起こるのは、子どもにふさわしい環境や授業を提供できていない大人が悪いと疑いませんでした。もちろん先生方も、最初は情熱を持って臨んでいるにも関わらず次第にその意欲がそがれていってしまうジレンマに陥っていました。そこで先生方の情熱を維持できるような仕組みが必要だと考え、教育委員会に転職。その後辿り着いたのは「学校を創る」という大きな目標でした。私が目指す教育に賛同する仲間を集め、教育に改革を起こしたいという思いが込み上げてきたのです。こうして私は社会起業家としての一歩を踏み出しました。学校の設立には強いリーダーシップと専門的なマネジメント能力が必要です。そこで英語を一から学び直し米国ハーバード教育大学院に進学、その後スタンフォード経営大学院でも学位を取得しました。
真の社会起業家を育てるために ~海外で学ぶ意義とは~
日本には深刻な教育格差がありさまざまな課題が山積していますが、それらを私一人で解決するには限界があります。もし同じ思いを持つ社会起業家が100人、1000人と増えれば大きなうねりとなり課題解決のスピードが加速されるに違いありません。そう考えた私は、大学院卒業後、「次世代のリーダー育成」を目標に掲げ、取り組むことになりました。
私は大学卒業まで日本で育ちましたが、アメリカの大学院に進学したことで社会起業家としてのキャリアを歩み始めました。そもそも海外に出る人ははじめから志が高く視野が広い人が多いものです。海外で最先端のソリューションやモデルを見聞きすることで客観的に日本を見つめ直すことができます。そして課題に気づき日本が持つ可能性や強みを再認識するなど、視座を高めることができるのです。この視座こそ、「海外進学」の醍醐味と言えるでしょう。
学習塾Crimson Educationとオンライン・インターナショナルスクールCrimson Global Academy(CGA)は海外進学をサポートしていますが、私が目指すのはそれだけではありません。真の目標は社会課題の解決に取り組む「次世代のリーダー育成」です。現在は、小学生から高校生まで、日本の学校に通うお子さんや国内外のインターナショナルスクール生・現地校生、不登校のお子さんなどの教育相談にのり、未来の社会への課題解決に向けた目標を実現する「伴走役」として、教育に携わっています。
求められる「個別最適化の学び」
CGAではメインの学校に通いながら一部の科目を補強したい生徒、フルタイムで学びたい生徒などあらゆるニーズに応える学びの場を提供しています。生徒には目標が明確な子もいれば、模索中の子もいます。本校の強みは、一人ひとりの状況やレベルに合わせて学習指導を「個別最適化」できる点にあります。CGAにはトップ大学の進学を目指す生徒だけでなく、「自分のペースで学びたい」と考える生徒も通っています。例えば、帰国後に日本のカリキュラムや文化の違いに戸惑い不登校になってしまった生徒には、その子のポテンシャルを最大限に生かせるようレベルに合ったカリキュラムを提供しています。また、ディスカッションベースで学びを深める授業もあります。成績が伸び悩んでいる生徒には、難易度や指導形態などその子に合った環境で支援しています。
オンライン指導が中心のため、通学時間と授業時間の短縮により生まれた空き時間を活用し、生徒たちは研究やインターンシップに部活動など、さまざまな活動に取り組んでいます。研究を希望する生徒には、海外トップ大学の教授や博士課程修了者がメンターとなって研究論文の書き方などを指導します。プログラミングやAIに興味がある生徒には、専門のメンターがスキルの開発をサポートしています。
本校の特徴の一つに、世界中から優秀な教員が集まっていることが挙げられます。通常の学校では、近くに住んでいる教師しか採用できません。しかしオンライン・スクールの特性を生かせば、優秀な教師を世界中から採用することができます。その結果、教師のうち70%が修士号、12%が博士号を持ち平均指導歴は20年と経験豊富な教師が集まっています。イギリス、ニュージーランド、南アフリカなど、世界中のトップスクールで指導していた教師たちが本校に集まる理由、それは、彼らが「従来の学校の枠組みを超えて最先端の教育を提供したい」という高い志を持っているからなのです。地域に縛られることなく、新しいスタイルの教育をともに創り上げているのが本校の特色と言えるでしょう。
世界の潮流とファクトから見る「教育のゴール」

刻々と変化しグローバル化する社会において、子どもたちの選択肢を広げ可能性を最大限に引き出すためにはどうすれば良いのでしょうか。
そのためには、世界の「潮流」と「ファクト」をしっかり把握することが重要です。
まず、「経済的な動向」を見れば自明の理でしょう。日本の賃金は1980年代から横ばいで、アメリカなどとの賃金格差は拡大の一途を辿っています。人口動態を見ると、今の子どもたちが親世代になる頃には高齢化率が40%にも上がると言われています。このまま日本経済が縮小すれば、世界で活躍できる力を身につけることは、子どもたちが豊かな生活を送るための必要条件になります。次に「教育の質」にも注目しましょう。国内の教育機関の予算は、海外のトップ大学と比べてはるかに少ないのが現状です。例えば東京大学の年間の予算が2800億円に対し、ハーバード大学は9000億円と3倍以上の開きがあります。この違いが意味するものは、教えている教授の質や研究にかけられる研究費なのです。
私が考える「教育のゴール」には、次の三つがあります。一つ目は子どもたちが「成長し続けるためのマインドを身につけること」です。現代社会は変化が激しく、不確実性に満ちています。だからこそ生涯学び続ける必要があります。そこで教師自らが成長し続ける姿を見せ、子どもたちに成長の大切さを伝えなければなりません。二つ目は「変化に対応する力を育むこと」です。将来、答えのない問題に直面する場面も多くなるでしょう。それゆえ問題解決能力と批判的思考力を備え、変化に対応する力が重要なのです。三つ目は、「テクノロジーを駆使する力を培うこと」です。地域、時間、あらゆる制限を超えることができるのは「テクノロジー」を駆使してこそ可能です。最新のテクノロジー使いこなすことで、子どもたちは学びのパフォーマンスを最大化し、効果的に学び考え、行動できるようになります。これらのゴールに辿り着くために、そして、この混沌とした社会を生き抜き自分らしく輝ける未来を創造するために、本校では世界標準に即した質の高い教育を提供しているのです。
海外で暮らすご家族へのメッセージ
シンガポールには、英語、中国語、そして学力の基礎をバランス良く築ける素晴らしい環境が整っており、質の高い教育にアクセスすることができます。私自身も、現在はシンガポールで暮らしており、その環境を享受しています。親御さんには、ぜひお子さんをじっくり「観察」することをおすすめします。観察することで、お子さんは何をしている時が良い表情でワクワクしているかを知ることができます。お子さんのユニークさや個性を育む教育をプラスアルファで足すことは、親御さんの大切な役割だと感じるのです。
海外で多彩な経験をしても、将来の進路が日本の大学一択ではもったいないと感じます。お子さんの可能性を引き出しグローバルな視点を持つために、海外大学も選択肢に入れることを切におすすめしたいです。
海外は大学院で、と考えている方もいらっしゃるでしょう。大学院はすでに専攻した専門性をさらに極めるためには良いですが、まだ専門が定まっていないお子さんの場合は学部からの進学を強くおすすめします。
なぜなら、学部はまさに専門分野を見つけにいく場所であり、グローバル対応力を身につける場所だからです。教育は国家の根幹を成すものです。多様な選択の中からお子さんが最適な環境を選び、日本の代表として輝く人材として活躍されることを願ってやみません。
■ シンガポール現地説明会
『オックスブリッジ・アイビーリーグ合格の最短ルート! IB生のための専攻別ロードマップ』
2025年4月12日(土)10:00~11:30(シンガポール時間)
※会場はお申し込み後にご案内します。
お申し込みはこちら https://bit.ly/4kjoUrZ
■ CGAでは毎月、英語力・学力強化や海外進学に関するウェビナーを開催しています。
開催予定のウェビナーはこちら https://bit.ly/41H9Exx
※海外進学を目指すご家族対象
Crimson Global Academy https://bit.ly/3XlkS8f
Profile
松田悠介(まつだゆうすけ)氏
海外進学支援、国際教育のエキスパート。日本の中・高体育教師、教育委員会勤務を経て、認定NPO法人Teach For Japanを創立。その後、京都大学特任准教授やスタンフォード大学客員研究職を経て現職。ハーバード教育大学院、スタンフォード経営大学院を修了。NHKやPivotに国際教育スペシャリストとして出演。現在、文部科学省 中央教育審議会 委員を務める。海外進学支援ではハーバード大学やコロンビア大学、ケンブリッジ大学など世界トップ大学への合格者を輩出。
2025年3月25日現在の情報です。最新情報は直接お問い合わせください。