英語を本気で強みにする!  
~日本の学校の取り組み~2025年度版

 日本の大学の入学試験では英語4技能を評価することが明確になり、中学・高校での英語の取り組みも変わってきました。2024年に公表された文部科学省「英語教育実施状況調査※」によると、中高生の英語力は、各学年が目標とする「英語レベル」を超えている生徒の割合が5割以上にのぼり、また英語担当教師の英語力も、10年前に行われた同調査と比較し、中学校で17%、高校で28%も向上しています。生徒や教師の英語力は着実に向上している調査結果が明らかになりました。授業内容も、英語担当教師が発話の半分以上を英語で行っている割合が中学校では約7割、高等学校では約4割になるなど、生徒が英語に触れる機会が充実してきています。  近年、海外生・帰国生だけでなく、日本で生まれ育ったお子さまも海外大学を志願するケースが増えています。もはや「英語を話すことは前提」となりつつある国際社会で活躍するために、海外生・帰国生受け入れ校の多くは、独自の取り組みで生徒たちの英語力を向上しています。Springでは、今年も主な海外生受け入れ校の「英語を本気で強みにする」取り組みについてご紹介します。 

 ※紙面と同じ一覧がPDFでご覧いただけます。

各校の取り組みについて伺いました。

Q1帰国生のみを対象としたクラスはありますか

Q2英語についてどのような外部試験の対策をしていますか

Q3「帰国生対象の取り出し授業」の一番上のクラスのレベルは。

Q4英語で活動する主な クラブや部活動、委員会には どのようなものがありますか

Q5「帰国生対象の取り出し授業」または 「習熟度別授業（帰国生以外も含む）」は ありますか。

■「帰国生対象の取り出し授業」がある
■「習熟度別授業（帰国生以外も含む）」がある 
■「帰国生対象の取り出し授業」「習熟度別授業（帰国生以外も含む）」の両方がある

Q62024年度の海外大学進学者数を 教えてください。

※2023年度末段階の調査では9名。卒業後に入学が決まる生徒が複数名います（国際基督教大学高等学校） 

※「進学」ではないが「合格」はダブルディプロマコース43名中41名（文化学園大学杉並高等学校） 

幼少期を海外で過ごし、現在さまざまな分野で活躍する先輩方のストーリーをご紹介します。

過去のストーリーはこちら

株式会社プレイド
田尾 あずささん

【プロフィール】  
東京女学館中学校・高等学校　国際学級
東京外国語大学卒業。三井物産株式会社を経て、現職。

「英語が強みとなっている」と感じますか？

～多様化が進む社会で英語の重要性を実感～ 
現在日系企業に勤務していますが、多国籍の仕事仲間やクライアントが多くウェブ会議でのやり取りも頻繁なため、英語を使ったコミュニケーションの重要性を強く感じています。オンラインでボーダーレスに人と繋がることができ情報が溢れている現代だからこそ、「英語力」とともに教養を身につけ、「正しい情報を見抜く力」「相手を理解する力」が求められていると思います。

英語を習得するまでに、 どのような努力をしましたか? 

～帰国後に鍛えられた英語力～
小学2年生から父の仕事の都合でイギリスに2年間住み、現地の小学校に転入しました。当時はローマ字も書けませんでしたが、現地校の先生やクラスメイトのおかげで英語の読み書きができるようになり、英語を学ぶ楽しさを知りました。帰国後、両親に英語学習を続けたいか聞かれた時には、迷わず「続けたい！」と答えたことを覚えています。
中学進学の際には英語教育が充実している中学校を探し、東京女学館の国際学級に入学しました。国際学級では、教科書中心で英文法と例文を覚えるような授業ではなく、実践的な英語力をつけ「英語を手段として異文化を学ぶ」ものでした。日常でよく使われるボキャブラリーを大量に習得して表現力をつけたり、日本や諸外国の文化や歴史について書かれた本を英語で読み、世界における課題解決策をプレゼンテーションにするなどさまざまな取り組みがありました。授業の内容は高度でアウトプットが多く、しっかり授業を聞いていないと太刀打ちできず再試験になるなど苦労も多かったですが、おかげで英語力は格段に強化されました。最も印象的だったのは、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を古典英語のまま読み、舞台を作り上げる授業でした。セリフを覚えるだけでなく、衣装や舞台道具もクラス全員が一丸となって準備したことは、何より充実した思い出となりました。

海外在住のご家族に、 アドバイスをお願いします。

～日本の業務でも役立つ多文化体験～ 
現在の仕事では、多国籍のメンバーと仕事で関わる機会が多くあります。考え方や業務の進め方が自分とは異なる人もいるため、円滑なコミュニケーションを心がけています。さまざまなバックグラウンドを持った相手と協働するには「リスペクトの心」が必要不可欠で、これは小学生時代の海外滞在や、中高生時代に学んだ教養が役立っていると実感しています。ぜひ皆さんも海外在住の貴重な機会を活用し、多くの人と関わり知見を広げることを意識しましょう。日本で就業する場合でも、今後は外国人の採用が増えていくことは間違いないと思います。今のご経験がきっとキャリアにおいても役に立つことでしょう。

 海外生・帰国生受け入れ校の多くは、独自の取り組みを展開し、生徒たちの英語力は向上していると伺います。ここで、実際の取り組みをご紹介しましょう。  また、海外で日本人学校、現地校・インターナショナルスクールに通う皆さんへのアドバイスもいただきました。

参加校（50音順）

1.関東学院六浦中学校・高等学校
2.佼成学園中学校・高等学校
3.国際基督教大学高等学校
4.静岡聖光学院中学校・高等学校
5.昭和女子大学附属昭和中学校
6.白百合学園中学高等学校
7.聖心女子学院（セカンドステージ：初等科5年～） 
8.清泉女学院中学高等学校
9. 田園調布学園中等部・高等部
10.東京女学館中学校・高等学校
11.文化学園大学杉並中学高等学校

日本人学校生へのアドバイスをお願いします。

関東学院六浦中学校・高等学校
皆さんは、海外にいる時点で素晴らしい体験をしています。海外から見た日本、日本から見た海外の両方を体験できることは、必ずみなさんの力につながります。新しい発見を楽しんでください。

佼成学園中学校・高等学校
新しい文化や価値観に触れ、自分の世界を広げてください。海外での全ての経験が、必ず未来の自分を強くします。挑戦を恐れず、今しかできない活動を精一杯取り組んでください。

国際基督教大学高等学校
授業にしっかり取組むことはもちろん、生活で触れる英語の意味を調べたり、感じたことを英語で表現することを意識してみてください。英語を「教科」として身構えず、生活の中に取り込んで慣れていくことが大切です。

静岡聖光学院中学校・高等学校
英語以外の授業では、日本語で授業を行っています。日本語講師による個別指導を受けることができますが、ある程度の日本語力を必要とします。

昭和女子大学附属昭和中学校
帰国生に限らず、放課後や長期休暇を利用して指名制や希望制の補習を行っています。本校は「面倒見がよい」と言われていますが、補習については、こちらから声をかけることもありますので、安心してください。

清泉女学院中学高等学校
英語の先生からのアドバイスです。「現地でしか体験できないことを積極的に味わってください。その体験は唯一無二です！」

聖心女子学院
日本人学校出身の生徒は大変歓迎です。本校は全ての授業を帰国生と一般生が同じクラスで学びます。日本人としての常識や日本語力があってこそ真のバイリンガルと考えているので、大いに自信を持って本校を目指していただきたいと思います。

田園調布学園中等部・高等部
田園調布学園の帰国生入試は国語・算数でも受験可能です。日本とは違った環境での生活体験はとても貴重なものだと思います。現地で生活したからこその思考を大切に、中高で活躍してほしいと願っています。

東京女学館中学校・高等学校
母国語の力は物ごとを考える基盤としても英語力の伸長にも欠かせないものです。学校では日本語力を養うとともに、滞在国での日常生活の中で経験することを大事にしてください。

文化学園大学杉並中学高等学校
本校は日本とカナダの2つのカリキュラムが学べる学校です。日本の教育課程を学んでいる生徒はその土台をしっかりと生かしつつ自分の英語力をさらに伸ばすことができる環境が整っています。

現地校生・インターナショナルスクール生へのアドバイスをお願いします。

関東学院六浦中学校・高等学校
異なる文化や言語の中で学ぶことは大きな挑戦ですが、素晴らしい体験です。いかに自分らしく生きるか、自分の想いを伝えるかの苦労は、全て皆さんのアイデンティティの礎となります。日々の挑戦を楽しんでください。

国際基督教大学高等学校
現地での経験を大切にしてください。現地に溶け込むほど帰国後日本の生活に違和感を感じるかも知れません。しかしその感覚こそが財産となります。その国ならではの文化を思い切り感じながら生活してください。

佼成学園中学校・高等学校
海外での体験を通して語学力はもちろん、グローバルな視点を磨いてください。帰国後は日本の文化も柔軟に受け入れ、自分の世界・可能性を広げてください。

静岡聖光学院中学校・高等学校
IGCSEやA levelなどのインターナショナルコースがオンラインで受講できたり、海外交流プログラムが充実しているため、グローバルリーダーとして活躍する機会が多く、国内・海外大学進学の両方を視野に入れながら学習することができます。

昭和女子大学附属昭和中学校
貴重な海外での生活を通して、積極的にその国の文化に触れ、ものの考え方の違いを体感してきてください。海外では、不慣れで苦しく辛いこともあるかもしれませんが、その経験は、長い人生で必ずプラスになります。

清泉女学院中学高等学校
本校のインターナショナルスクール出身の先生からのアドバイスです「当時、学校から帰って、漢字ドリルを渋々やっていましたが、日本に帰ってきて役に立ちました。」

聖心女子学院
英語は話す中身が伴って初めて話せると言えます。自分の意見をしっかり持ち、それをoutputするのはとても大切です。帰国生は周りの意見も聞きつつ、うまく自分の意見を周りに理解して貰うコツを心得ています。本校の生徒を大いに刺激してください。

田園調布学園中等部・高等部
英語力をさらに伸ばすために、中1～高2で英語の取り出し授業を実施しています。ネイティブ教員による少人数授業で、海外大学進学を見据えIELTS対策も行っています。帰国生入試では資格による得点換算もあります。

東京女学館中学校・高等学校
現地校ならではの貴重な学校生活を思い切り楽しみ、日本とは異なる価値観に触れて得るものや感じるものを大切に、大いに吸収してきてください。

文化学園大学杉並中学高等学校
本校のカナダカリキュラムはインターナショナルスクールと同じような雰囲気で学ぶことがでます。英語圏の卒業資格を取得できるため、大学受験も「海外生枠」「帰国生枠」で受験でき、海外大学にもスムーズに進学できます。

白百合学園中学高等学校
海外での貴重な経験を大切にして、帰国後の学校生活において存分に力を発揮してください。中学3年間は、帰国生だけの英語取り出しクラスが用意されています。全てネイティブの教員による授業です。

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2025年3月25日現在の情報です。最新情報は直接お問い合わせください。