特集記事
大学の挑戦  名古屋大学 ~真の国際化を目指して~

経済の再生を目指す今の日本。世界と対等に渡り合える人材の育成は日本にとって喫緊の課題です。教育分野での開国、日本の内なる国際化のために、最高教育機関である大学が新たな挑戦を始めています。
「世界で活躍できる人材」の育成・獲得に向けて各大学が取り組む国際化戦略とは何か、シリーズでお届けします。

名古屋大学から「Nagoya University」へ

 名古屋大学は、明治4 年(1871 年)に仮医学校として創立されました。昭和14年(1939 年)に名古屋帝国大学として発足以来、今年で74年を迎える日本の代表的な基幹研究大学です。9 学部・14 研究科・3 研究所からなる本学は、研究者の育成に力を入れ、現在までに4 名のノーベル賞学者を輩出しています。このような研究者たちの業績は、名古屋大学の自由闊達な学風が生み出したものとも言えます。名古屋大学学術憲章に「自由闊達な学風、豊かな人間性を持つ勇気ある知識人の育成」とあるように、権威に対しても疑問を投げかけ、議論を深めることができる環境を大切にしています。
 本学では「名古屋大学からNagoya University へ」という目標を掲げ、国際化を強く推進しています。現在約1,800名の留学生がいますが、今後10 年間で3,000 名に、また外国人教員を全体の7.5%(130 名)まで増やしたいと考えています。日本人学生の海外留学については、海外協定校での英語・中国語の語学研修や短期・長期の交換留学などの制度を設けています。

学部英語コースの開講

 2009 年、名古屋大学は「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(グローバル30)」の拠点として採択されました。これまで本学で実施してきた質の高い学部・大学院教育をより広く提供し、高い専門性をもちながらグローバルな環境下で活躍できる、創造性に富む人材の育成をめざします。
 2011 年10 月より外国人留学生及び帰国生を対象とした、英語による授業で学位が取得できる国際プログラム群(Global 30 International Programs)を下記の学部で開設しています。

• 自動車工学プログラム(工学部機械系、工学部電気電子・情報系)
• 物理系プログラム(理学部、工学部)
• 化学系プログラム(理学部、工学部)
• 生物系プログラム(理学部、農学部)
• 国際社会科学プログラム(法学部、経済学部)

 2014 年10 月には、新しく「日本の中のアジア」文化プログラム(文学部)も開講し、名古屋大学のほぼ全学部が英語で学位が取得できるプログラムを提供することになります。
 授業の多くは、世界各地より集まった優秀な外国人教員が担当しています。一人ひとりの学生に目が届く少人数制を取り、Interactive Learning を通して学力の飛躍的な向上を目指します。2012 年10 月には、17 の異なる国と地域から50 名の学生が入学しました。英語コースの卒業要件、授業内容等は既存の日本語コースとほぼ同等で、英語コース卒業時に取得できる学位は、日本語コースで受けられる学位とまったく同じです。将来的には、日本語授業と英語授業のカリキュラムの相互履修を可能にすることにより、日本語コースの学生と国際プログラム群コースの学生が共に学び、切磋琢磨する環境を実現したいと考えています。

大学院英語コース

 既存の英語による大学院6 コース(国際開発研究科、法学研究科、工学研究科、医学系研究科、環境学研究科)に加え、2011 年10 月より新たに博士前期課程で5 コース、博士後期課程で4 コース(物理・数理系、化学系、生物系、医学系、経済・ビジネス国際、比較言語文化)が開講しました。2014 年10 月からは、文学研究科による「アジアの中の日本文化」プログラム(博士前期課程)も始まります。

就職支援

 文系(経済・法学)学部の学生の多くは、学部卒業後に就職します。一方、理系学部の学生は、企業が高い専門性を有する学生を求めることもあり、7~ 8 割の学生が大学院へ進学しています。
 名古屋大学では、国際プログラム群開設と同時にキャリア・デベロップメントオフィスを設置し、国内外の企業等へ就職を希望する学生に対する支援を充実させています。昨年には、日本有数の企業11社より人事担当者を招き、G30 国際プログラムを紹介するための交流イベントを実施しました。本学の学生は、過去の取り組みや将来のビジョンについて発表し、グローバル人材としてのポテンシャルの高さをアピールしました。その後の座談会では、企業人事担当者からキャリア形成に関する貴重なアドバイスを受けました。その他にも、G30 で学ぶ学生向けのインターンシッププログラムの企画もおこなっています。

海外大学との連携プログラム

 名古屋大学では328 の海外の大学・研究機関との間で学術交流協定を結んでおり、その内約100 校の大学とは交換留学協定を結んでいます。また、海外大学との連携プログラムも積極的に取り組んでおり、アジアやアセアン諸国の一流大学との間で単位互換制度もおこなっています。
 国際化を強く推進する名古屋大学は、豊かな人間性を持ちグローバルに活躍する人材を育成します。

名古屋大学アドミッションオフィス

http://admissions.g30.nagoya-u.ac.jp/

※本文は2013年6月25日現在の情報です。

過去の掲載大学はこちら https://spring-js.com/japan/japan01/challenge/

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