上智大学国際教養学部 1年生 松井 彩渚さん
インター校と日本の学校での違い
私は2歳の時から高校入学までシンガポールで過ごしました。日本の小・中学校のことはわかりませんが、インター校と日本の学校では学習の進め方やアプローチにも大きな違いがあります。
例えば数学では、インター校では計算機を用いて難しい計算をするため、公式を暗記する必要はありませんでした。日本の学校では公式を暗記し、全て自分で地道に計算をすることに驚きました。
理系の科目は日本語の用語に馴染みがなかったうえ、化学ではネオン(Neon)など元素の名前で英語をそのままカタカナで表記するものと、酸素(Oxygen)など日本語独自の名前があるので、新たに学ぶことも多かったです。英語においては自信があったものの、インター校で文法を「フィーリング」で理解していたことに気づくこともありました。日本の学校できちんと学び直したおかげで、より高度な文章を書けるようになったと思います。
中2の時に日本の高校受験を考えて、算数は家庭教師をつけ、国語や作文は塾で学習しました。受験勉強をしながら学校の課題をこなすのはとにかく大変でした。ハイスクールでは課題の量も多く、レベルも高くなったので、夜遅くまで一生懸命取り組んだことを覚えています。その時は大変でしたが今では良い思い出になっています。
インター校では、「今の自分がいかに社会に貢献できるか」という問題提議を常に感じていました。在学中に、カンボジアに学校を建てる募金活動に参加し、ベトナムで貧しい学校にグラウンドを作るボランティアにも参加しました。それらの活動を経て、もっと力になりたい、将来は海外で恵まれない子どもたちに学校を建て先生として勉強を教えたい、という将来の目標ができました。
シンガポールは多民族国家なので、日本ではできない経験がたくさんできます。ぜひ、現地の行事に参加したり、いろいろな国の食べ物を食べてみるなど積極的に関わって楽しんでください。
横浜市立名瀬中学校 1年生 松井 麗奈さん
シンガポールでの忘れられない思い出
インター校に通っていたGrade2の時に、Mathleticという子どもの数学オリンピックで上位になり、メダルを貰いました。本当に嬉しかったです。日本ではできないフランス語や中国語の授業を受けられたことも良い経験でした。クラブ活動ではアイススケートに挑戦し、YMCAのキャンプでマレーシアに行ったことなど、どれも日本ではできない貴重な体験で忘れられない思い出です。
不安だった日本への帰国
シンガポールで生まれ育ったので日本への帰国がとても不安で、帰りたくありませんでした。自分とは育った環境が違う日本の子たちと仲良くできるか、授業についていけるのかといろいろなことが心配でした。
実際に帰国してみると、日本の学校の友だちはみんな優しく、すぐに仲良くなれました。不安に思っていた友だち関係は問題なく、ほっとしましたが、体育の授業で跳び箱や縄跳び、鉄棒やマット運動は今までやったことがなかったので、とても苦労しました。
将来は、シンガポールで身につけた英語を活用できる空港のグランドスタッフや小学校の先生、アナウンサーのいずれかになりたいです。
お母さまより
長女が2歳で来星し、次女はシンガポールで生まれました。二人とも現地の幼稚園に始まり、帰国するまでインター校で教育を受けていたので、日本語の維持に積極的に取り組みました。家では日本語を常に使い、日本人会の季節の行事にも参加し日本の文化を取り入れるようにしました。姉妹で日本語の幼児教室や補習校にも通いました。
次女については、小学4年で帰国することが分かっていたので、日本の勉強は大切にしつつ、日本では経験できないことを通して視野を広げられるよう、キャンプや学校のクラブ活動にたくさん参加させました。帰国して半年ほどは日本の学校生活に戸惑うこともありましたが、今ではすっかりクラスに馴染んでいます。
二人とも「シンガポールは楽しかった、帰りたい」と言っています。海外の中でもシンガポールは暮らしやすく、教育熱心な国です。ぜひ暮らしている間に多くのイベントに参加し、色々な文化に触れてみてください。
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