バイリンガル主義のシンガポールの小学校では、基本言語の英語の他に「母語」の科目が必須で、北京語やマレー語、タミル語のいずれかを学びます。中学以降も母語教育は続きますが、これと並行して、一部の生徒たちは中学1年生から「第3言語」を学んでいることをご存知でしょうか。
「第3言語」を履修できるのは、小学校の卒業試験(Primary School Leaving Exam, PSLE)※の成績が上位10%だった優秀な生徒だけです。授業はそれぞれの学校ではなく、シンガポール国内に2ヵ所ある「教育省言語センター」(Ministry of Education Language Centre, MOELC)で週に1回、放課後の時間に行われます。生徒たちは放課後MOELCに移動し、毎週3時間15分の授業を受け、定期考査も受けます。
1978年に始まった「第3言語」教育は、当初フランス語と日本語だけでしたが、その後ドイツ語、アラビア語、マレー語、インドネシア語、そしてスペイン語が加わりました。現在は約4,500名の中高生がこれら7言語のいずれかを学んでいます。教育省は、この「第3言語」教育の目的を「近隣諸国との友好関係の促進、海外留学の機会と多国籍企業への就職の機会増進」として、その戦略性を明記しています。実際これまでMOELCは外交官や多国籍企業の幹部を数多く生み出している「金の卵」の養成機関なのです。皆さんの周りに日本語が堪能なシンガポール人がいたら、MOELCの出身者かもしれません。
※公立校の詳細は下記をご参照ください
シンガポール公立学校の広場
シンガポール公立小学校 徹底解説