日本の小学校では高学年になると宿泊学習があり、その集大成として6年生では修学旅行に行く学校が一般的でしょう。シンガポールの小学校では、6年生は卒業試験(PSLE: Primary School Leaving Examination)一色のため、記念となる全員参加の宿泊行事はありません。その代わり、5年生で多くの学校がアウトドアキャンプに行きます。行き先は近隣のマレーシアや、最近はシンガポール国内にあるキャンプサイトへ行く学校もあります。こちらのキャンプは全員参加の学校もありますが、任意参加の学校もあります。
キャンプの目的は、自分の「コンフォートゾーン」から出て、不便さや不自由を感じることです。シンガポールでは自宅にヘルパーがいる家庭も多いため、身の回りのことや家事の手伝いをする機会が限られている場合があります。そのため、このキャンプは日ごろの恵まれた生活環境に感謝すると共に、自分のことは自分で行い、協働作業を通して自立を促す絶好の機会なのです。
両親と離れて眠る経験がない子どももおり、保護者向けのキャンプ説明会では、「絶対について来ないでください」と先生が何度も念押しされるのが印象的です。キャンプは、親も「子離れ」を体験する良い機会のようです。