シンガポール発海外教育情報誌サイト

教育イベント

東日本大震災特集

東日本大震災から3年「奇跡のピアノ」に秘めた思い

LINEで送る
Pocket

 昨年、シンガポール髙島屋の開店20周年事業として、日本から運ばれた「奇跡のピアノ」の展示・演奏会が行われました。
 東日本大震災から3年が経ち、今もなお、震災と原発事故で不自由な生活を余儀なくされている方がたくさんいらっしゃいます。
 「奇跡のピアノ」の修復を担当された福島県いわき市の遠藤洋さんにお話をうかがいました。

奇跡のピアノ

2011年3月11日、眼前に海が広がる福島県いわき市の豊間中学校では、卒業式が行われていた。ピアノの伴奏とともに生徒の門出を祝った数時間後、東日本大震災による大津波が同校を襲った。
被災後、復旧作業中の自衛隊員が目にしたのは、砂まみれのグランドピアノ。「 思い出がつまったピアノを、がれきにしてよいのか」。迷った末、隊員は体育館にピアノをそっと残していった。
震災から2週間後、福島県いわき市でピアノ店を営む遠藤洋氏が動き出す 。砂と海水のダメージをうけたそのピアノ修復は、誰が見ても不可能に思われた。遠藤氏率いる修復チーム6人の途方もない作業が続く。 半年後ついにピアノの音はよみがえり、「 奇跡のピアノ」と人々は呼んだ。豊間中学校の生徒が学ぶ仮校舎では、 新しく卒業生を送り出すために、ピアノの音色が響きわたった。

修復への思い

震災当日、大津波警報が出され豊間中学校の生徒は高台に避難し、眼下の校舎が大津波に飲み込まれるところを目の当たりにしました。その光景に震え、気分の悪くなる子も多数いたそうです。目の前に立ちはだかる困難のあまりの大きさに人々は生きる希望さえ失い、また、たくさんの大切なものも失いました。

そんな中、私はその ピアノに出会いました。鍵盤を押してもかすかな音しか出なかったピアノには、「寄贈 四家広松」という文字が刻まれていました。お孫さんが通う同校の体育館の新築のお祝いに寄贈されたもので、ピアノの伴奏で校歌を歌っていた生徒さんの光景も心に浮かんできました。「寄贈した方の思いをずっと残したい」「震災で多くのものを失っても、人と人の絆は失いたくない」と修復を決意しました。
鎮魂の思いもこめて復活させ、もう一度生徒たちにこのピアノで校歌を歌ってもらうことが、被災した方を勇気づけ「復興」のシンボルになるのではないかと考えました。

言葉ではなく行動

しかし、修復は容易には進みませんでした。生活基盤そのものが揺らいでいたときですから、ピアノの修復に反対する声も多くありました。時間が経過するほどに、海水や砂のダメージが修復をより困難な状態にしていきました。ここであきらめることはできない、と一念発起し、磯のにおいがするピアノを自分で買い取り、 修復作業を一人で黙々と始めました。私の強い決意が姿勢に現れたのでしょうか、徐々に手を差し伸べてくれる人も現れました。自衛隊の方、校長先生やPTAの方を始め皆さんと一緒に修復を成し遂げることができました。
混沌とした状況の中で、私にできることはピアノの修復に「復興」への希望を託すことでした。固い決意が人の心を動かすことがあると、そのとき感じました。

シンガポールの皆さんへ

被災地から遠く離れていても、皆さんが折り鶴にこめた思いや募金をしてくださったその行動が脈々とつながり、被災した人にも必ず伝わっていると思います。
津波によってできたピアノ外面の傷を、私はあえて残しました。震災を忘れないでほしいと思ったからです。あの経験を今後に活かして欲しいという思いもありました。
原発事故のため、地元を離れ新しい土地で頑張っている家族もたくさんいます。家族のために単身赴任をし、子どもと離れて暮らす人も多いでしょう。そのような状況だからこそ、人と人を結ぶ「絆」を大切にしていきたいと思います。シンガポールにいらっしゃる皆さんも、 新しい環境などでお子さんが困難にぶつかったら、家族の「絆」で支えてあげてください。

 

奇跡のピアノ

2011年3月11日、眼前に海が広がる福島県いわき市の豊間中学校では、卒業式が行われていた。ピアノの伴奏とともに生徒の門出を祝った数時間後、東日本大震災による大津波が同校を襲った。
被災後、復旧作業中の自衛隊員が目にしたのは、砂まみれのグランドピアノ。「 思い出がつまったピアノを、がれきにしてよいのか」。迷った末、隊員は体育館にピアノをそっと残していった。
震災から2週間後、福島県いわき市でピアノ店を営む遠藤洋氏が動き出す 。砂と海水のダメージをうけたそのピアノ修復は、誰が見ても不可能に思われた。遠藤氏率いる修復チーム6人の途方もない作業が続く。 半年後ついにピアノの音はよみがえり、「 奇跡のピアノ」と人々は呼んだ。豊間中学校の生徒が学ぶ仮校舎では、 新しく卒業生を送り出すために、ピアノの音色が響きわたった。

LINEで送る
Pocket

PAGE TOP