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何でもQuestion & Suggestion 〜読者の質問に答えます〜

「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

2018.11.22

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「バイリンガル教育」と聞くと「英語教育」とほぼ同義に捉えられがちですが、海外でインターナショナルスクールや現地校に通うお子さんにとっては、むしろ「日本語の学習」こそが大きな課題となる場合が少なくありません。Springでは、シンガポールで国語を指導されている専門家の方々に、「インター校生や現地校生のための国語(日本語)学習」について貴重なアドバイスをいただきました。
今回は「日本語学習についての考え方」についてまとめました。

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次ページ以降では取材にご協力いただいた教育機関の先生方の貴重なアドバイスを詳細にご紹介しています。

日・英いずれも高いレベルで使いこなせるバイリンガルに育てたいけど…

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

Q. バイリンガルを目指す上で、日本語学習をどう考えるべき?

こどもクラブ 山出 先生
言葉は「思考のツール」、まずは第一言語(母語)を決めましょう

バイリンガルを目指すことは良いと思いますが、言語がアイデンティティーの形成に関わることを忘れないでください。移転後すぐにインターナショナルスクールに入れたり、生後間もなく英語のみのチャイルドケアに預ける方がいます。日本人なのに英語が先行しても「英語ができるから良い」と考えるようですが、将来的に日・英どちらの言語でも深い思考が出来ずに社会に出てから困るようなケースもあります。そうならないためにまず必要なことは、第一言語(母語)を決めることです。母語で年齢相応の語彙を習得して思考力を育てた上で、他言語も並行して使う環境を整えると良いでしょう。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

シンガポール日本語補習授業校 山村 先生
「急がば回れ」母語の習得が第二言語習得への近道

子どもの能力には個人差があります。まずは英語・日本語ともに「子どもにどこまで求めるのか」を、保護者の方がしっかり考えることが大切です。「家庭で日本語で会話をしているから大丈夫」と考えてしまうのは間違いです。「会話言語」と「学習言語」は別のもので、「会話ができるから学習ができる」とは限りません。まずは「会話言語レベル」を目指すのか、「学習言語レベル」を目指すのかを確認しましょう。「二兎を追う者は一兎をも得ず」「急がば回れ」、です。会話言語としてであれ、学習言語としてであれ、まずは母語としての日本語を習得することが、第二言語習得への近道です。

オービットアカデミックセンター 満仲 先生
日・英でネイティブレベルを目指すなら、日本語を中心に

日本語と英語を比較すると、「言語としての本質的な難しさ」「語彙量」「周りから求められるレベル」のいずれにおいても、日本語の方がはるかに難しいということを理解しましょう。個人差はありますが、英語環境の学校に3年在籍したら学習言語としてあまり不自由なくなるでしょう。しかし日本語の1年の遅れを在学中に取り戻すことは難しく、また言語は全ての科目の土台となるため、他科目の理解も中途半端になる恐れがあります。このため、ネイティブレベルでバイリンガルを目指すのであれば、あくまでも「日本語を中心に据える」ことがポイントです。特に10歳未満では「英語はできるようになるが、日本語力と引き換え」になることに注意しましょう。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

WAOシンガポール 川中 先生
「思考できる言語」を確立すること

お子さまの母語は何語でしょうか?多くのお子さまは「日本語」だと考えます。まず、母語である「日本語」をきちんと「思考できる」レベルにすることが大切です。「日常会話ができる」だけでは不十分です。「思考できる」レベルの基礎を作るのは特別なことではなく、特に幼年期から小学校低学年にかけてお母さま、お父さまが日本語でたくさん話しかけることにあると考えます。「思考できる」言語があって初めて、他の言語での豊かなコミュニケーションが可能になります。お子さまの一生に関わる大切なことですので、ご両親でしっかりと言語教育の方針を決めることをおすすめします。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

Q. 学習方法や園・学校選びについてアドバイスをお願いします。

ISSインターナショナルスクール 津村 先生
中学生レベルまでは日本語学習を

「ネイティブ」の定義にもよりますが、バイリンガルを目指すのであれば日本語はできれば中学生レベルまで学習していてほしいと思います。ただ、過去には日本の教育は小学2年生までしか受けなかったお子さんでもIBDP※の日本語で最高点の7を取り、英語で学ぶ他の科目でも良い成績で卒業した方もいました。IBの日本語は大学1・2年生レベルです。本も新聞も読み、おしゃべりが大好きなお子さんだったことが幸いしましたが、読書好きでなくても、自分が好きな分野のことを「人にどう伝えるか」という課題に取り組む中で、必要な言語力を身につけることは可能です。
※国際バカロレア・ディプロマプログラム

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

KOMABA 石川先生・川口 先生
日常会話だけでは、学習言語としての日本語は身につかない

ネイティブレベルのバイリンガルになるためには、4技能(読む・書く・聞く・話す)のバランスが非常に大切です。「学習」と捉えるとどうしても「読む・書く」ばかりが目立ってしまいますが、数値化できないような思考力や表現力の部分も合わせて客観的に評価していく必要があります。また、4技能のバランスに加え、「分析・思考・表現」の過程を通して、インプットとアウトプットの練習を繰り返し行うことも大切です。日本語という言語の特性を考えると、ご家庭での日常会話だけでは学習言語としての日本語はなかなか身につきません。ご家庭と教育機関での学習の両輪で、長期的な視点で進めていくことをおすすめします。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

このはな幼稚園 毛利 先生
小学校は日本語メインがおすすめ

一般的に、「新聞を読んで理解するレベル」になるためには、英語の場合は9年程度のところ、日本語では12年間も必要と言われています。日本語は漢字が多いこともあり、漢字に拒否反応を持ち始める年齢になると、日本語のレベルアップが困難になります。子どもは日常生活で一番使用頻度が高い言語が他の言語よりも優位な状態になりますから、言語環境には注意が必要です。10歳以降、日本語で抽象的な単語を年齢相応に使いながら抽象的思考ができるようになるには、最低でも小学校は日本語で授業を受けて学習するのが良いでしょう。その上で「日本語を第一言語、英語は第二言語」を目指してはいかがでしょうか。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

MESシンガポール 佐藤 先生
読書と対話で日本語の幅を広げましょう

ご家庭により日本語学習の優先度は異なると思いますが、一定のレベルを目指す場合は、なるべく家では日本語での会話を心がけましょう。もし英語が出てきてもたしなめることはせずに「今の内容をもう一度日本語で教えてくれる?」と聞き返してください。両方の言語で理解し、人にも伝えられるように練習するチャンスと捉えましょう。また、語彙や知識の幅を得るためには、読み聞かせも含め日本語の本を読むことが大切ですが、ただ読むのではなく毎回必ず感想を聞いたり、続きを自分で考えたり、あるいは登場人物や筆者の考えを想像して発表する機会を作りましょう。内容の理解が深まり、自分の言葉でアウトプットする機会は言語力と思考力を伸ばす上でも有効です。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

早稲田アカデミーインター校 五十嵐 先生
将来的には自分の考えを日本語で論理構築できるように

日本語の学習には重要な時期が3段階あります。最初は小学校低学年の時期で、「文字と発音が結び付くこと」「音読ができること」が大切です。次は小学4年生で、漢字の画数が増え、抽象語が入ってきます。この時期は音読しなくても「部首を知り、目で見て漢字の意味をとらえられる」ことが大切です。最後は中学生の時期で、作文・小論文で自分の考えを書けるようになることが必要になります。語彙面ではインター生や現地校生は苦労することがありますが、難しい読解問題よりも「自分の考えを日本語で論理構築できること」が将来的なIBや大学入試では大切です。言語を育てる時期は、英語だけの向上を考えず、継続できる日本語学習環境を作ることをお勧めします。

「継承語」を知っていますか?
日本語を継承する上での大切なポイント

日本語文化継承学校校長 磯崎 みどり 先生

海外に長期滞在または永住するご家庭のお子さんの多くは、幼児期に毎日日本語で学ぶのではなく、家庭で使用する「継承語」として家族などから日本語を学ぶのがほとんどのケースです。そういった場合、必ずしも日本語が学習言語(第一言語)になるとは限りません。就学期以降にはどの言語が第一言語で、第二言語はどれか、ということを明確にし、まずは第一言語を確実に習得することが重要です。日本語と英語の両方を高いレベルで習得する「真のバイリンガル」には誰もがなれるものではありません。才能と本人・家族の相当な努力の上に初めて達成できるものだからです。しかし両言語ともに中途半端な「セミリンガル」にはならないよう、保護者は子どもの言語習得に十分気を配るべきです。

また、幼児期は母語を確立するのに大変重要な時期です。日本語を母語として確立させたいなら、この時期にできるだけ多くの時間を日本語環境で過ごせるように努力しましょう。英語で学んだ言葉が日本語で何というのかを指導していくことはこの時期から習慣づけ、「英語と日本語をつなぐのは保護者の役割」だと考えて根気よく続けることが、バイリンガルへの道を開くことにも繋がります。つまり、学習機関に入れるだけでなく、保護者がいかに深く関わるかが言語習得の重要な鍵なのです。

言語というのはアイデンティティーと切っても切れないものです。それを保護者が十分理解した上で、習得度合いに関係なく、親から子へと日本語を継承していってほしいと切に願います。

※日本語文化継承学校:
日本国籍を持ちながら、シンガポールに永住または日本への帰国予定がない子どもたちを対象に、言語と文化の両面から日本語を継承語として指導する学校。

何でもQuestion & Suggestion  「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

次回以降のこのシリーズでは、国語の学びについて「幼児期におすすめの取り組みは?」「日本語がおかしい?と気づくポイント」「敬語や熟語」など、大人の日本語が使えるようになるには?」など、幼児から高校生まで悩み別に先生方のアドバイスを掲載する予定です。

【ご協力いただいた教育機関】(種類別アルファベット順)
<幼稚園・プレスクール>
アーツハウス インターナショナル幼稚園石栗 好恵 先生アーツキッズ ひまわり幼稚園吉弘 美輝 先生アーツキッズ インターナショナル幼稚園みき 先生このはな幼稚園毛利 安孝 先生<幼児教室>
Happy Train川守田 宏美 先生こどもクラブ山出 亜弓 先生<日本語教育機関>
日本語文化継承学校・IB教師磯崎 みどり 先生シンガポール日本語補習授業校山村 薫 先生<学習塾>
KOMABA石川 晋太郎 先生、川口 美波 先生MES佐藤 剛 先生オービットアカデミックセンター満仲 孝則 先生WAOシンガポール川中 大和 先生早稲田アカデミー インター校五十嵐 敢 先生<インターナショナルスクール>
ISSインターナショナルスクール津村 美穂 先生

※次号以降でアドバイスを掲載する教育機関も含みます

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