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「インター校生・現地校生のための国語(日本語)学習」編

2019.01.22

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<必見!Springウェブサイト限定!>
取材にご協力いただいた教育機関の先生方から
貴重なアドバイスをいただきました。

こどもクラブ
山出 亜弓 先生

【共通】

Q. 日本語と英語を両方ネイティブレベルに学ぶことは可能だと思いますか。そのためには、日本語はどの時期にどのような学びをすることが必要だと感じますか。

経験上可能だとは思いますが、幼児と小学生(そのうち一部中学生)対象なので、大学まで進学し、社会人になった後の事まで追跡調査できないので、何パーセントの子どもが日英のネイティブレベルのバイリンガルになったかは正確には把握していません。
それをふまえた上で1歳からこどもクラブに入会し、日本語と他言語を同時に学習している子どもたちを13、4歳まで見ていて分かる事は、下記になります。

1 第一言語(母語)を決める
言葉を使って思考するため、その言葉で考える事ができる様にその年齢相応の語彙を習得する事。
2 母語を大事にしながら他言語も並行して使う
1歳から行うと発語が遅くなる可能性もありますが、遅くなる事自体は特に心配はありません。
母語を優先しつつ、憶えさせたい言語とリンクさせて小さい時から教える事が大事です。単語から行う。
例 apple  リンゴ が同じ物である事を何度も繰り返し伝え、理解させる。
特に乳幼児、幼児期は耳がとても良いので、保護者が面倒がらずに、両方の言葉で話しかける、両言語をリンクさせるという作業を継続して行う事が大事です。
※ 但し、お子さまの様子を見ながら両言語同時に話しかけて行くという事を中断さざるを得ない事もあります。周囲の専門家のアドバイスを参考にしてください。

【幼児編】

Q. 海外で生活しながら日本語を母語として習得するために、気をつけるべきことや考え方をご教示ください。

※言語はアイデンティティーに関わる事を忘れずに。
日本人は英語コンプレックスがある人が多いので、転勤されてきてすぐにインターやローカル学校に、もしくは出産されて直に英語のみのチャイルドケアに預けたりされる方も多いです。
日本人なのに英語が先行していて、日本語が出て来ない状況でも「英語ができるからいい」と仰る方には、同じ日本人として他所様のお子さまでも危機感を感じざるを得ません。
日本人なのですから、「日本語で読み書き、話せる事が大前提である」という事を忘れてはいけません。
英語が堪能な帰国子女となってもネイティブレベルではない場合、社会に出たとしても簡単な仕事しかさせて貰えない場合もあります。深い思考が出来ないからです。
言語というのは人間にとってとても大事なアイデンティティーに関わるものです。

Q. 幼児期に家庭で取り組める具体的なことを教えてください。読書の仕方のアドバイスや読み聞かせにおすすめの本などがあれば教えてください。

読書好きな子どもにする為には読み聞かせはとても良いです。親の愛情も直に感じる事もできます。
ここで大事な事は3歳以上は映像とふれあう時間を少しずつ減らして行く事が、読書好きへの道に大きく関わってきます。
アニメ等の映像は一方的に情報がお子さまに送られてきます。
もちろんそこで育つ感情等もありますが、映像の変わるスピードが速いため、自分で考える時間がありません。
絵本ですと、途中で親子でその場面について話をする事ができます。
絵本を読んだ後、内容についてのゲームをしたりすると、登場人物についてや場面の移行等のついて記憶、理解の練習にもなります。
読み聞かせをしてもらっている間に耳から聞いてイメージが出来る様になっていないと小学生以降、絵本から本への移行が難しくなります。絵が無いとイメージできないからつまらない、自分で読んでもわからない、読書は嫌いとなります。
ご両親のどちらかが日本人でないお子さま達は日本語での読書が難しいと言語習得にも、国語等の文章読解にも影響が出て来ます。小学生にはマンガでも良いから読んで下さい、とお伝えしているくらいです。

Q. 小学校入学前の年齢、幼稚園の年中・年長の時期にひらがなの読み書きはやっておくべきでしょうか。

はい、やっておくべきだと思います。
現在公立小学校でも入学後の4月から「ひらがなの読み書き」について一から教えている学校はありません。ある程度ほぼ読み書き出来る、という所からスタートしております。
特に男児は文字に興味が出るのを待っていると、鉛筆自体を持って字を書くというのが遅くなる傾向がありますので、あと半年後に就学、となって焦らなくても良い様に、「あ行」からではなく、「し、つ、く、へ」など簡単な文字から練習すると良いでしょう。
また数字は1〜10まで書ける様になれば、後はその組み合わせで100まで書けます。数列も同時に憶えられますので、数字から入るのも良いかもしれません。

Q. 英語環境のせいか、家庭でも特に兄弟間などで日本語よりも英語の方が簡単に出てきてしまいます。たしなめたりすると、日本語を強制されたように感じて嫌いになってしまうのではないかと心配です。おすすめの対処法があれば教えてください。

本当はそうなる前に、家では全部日本語で話す!というルールを作って徹底する事が大事です。幼稚園や学校で長い時間英語で話せるのですから、ここだけは日本語という環境を作る事が大切です。
年中〜小1、2くらいまででしたら、兄弟間で競わせるゲームの様にして、英単語を10回使ってしまったら、シールを表に一個貼るなど、目で見て楽しめる事をするのも良いかもしれません。
多分小4以上になると日本語だけで話しなさいと修正していくのは難しいと思います。
小さい時から、面倒がらずに保護者が意識する、また子どもに意識させていくのが場面によって言語を切り替える術を身に付けて行く一助となるかと思います。

【小学校低学年編】

Q. 「母語としての日本語の学習」という意味で、この時期に保護者として注意すべきことはどのような点でしょうか。

日本人であっても海外で育ち日本語環境が少ない場合は、文語、口語は別々に習得していく、と意識する事がとても大事です。
特に日本の小学1、2年生の学習は日本の教科学習の基礎となる大事な内容となっています。
その時期にローカル、インター校に通わせている場合は、日本語学習を細分化して捉え、日々の家庭学習に取り入れて行く必要があると思います。日本語で会話は出来るけれど言いたい事を文章で表現することが出来ないお子さまが多いです。ですので、短文作りから始めて作文を書く事が、良い練習になると思います。
作文を書く時期になりましたら、テーマや内容をマッピングする事がより取り組み易くなる一方法です。色分けして箇条書きでマッピングする。それをどの順番でどのように文章として組み立てていくか、等自分で考えて書くという事に役立ちます。「○○について作文を書いて」と丸投げしては、作文嫌いにしてしまいます。自分でマッピングが出来る様になるまでは大人の手助けが必要です。
文章書きをする時に口語ではダメだという事、書き言葉が有るという事を知る機会にもなります。
「おかあさんがだめだってゆったから」など話す様に書く子が多いですが、「おかあさんがだめだ、といったから」という表記に直していく。
また3年生以降の熟語の基礎となる「語彙」についても年齢相応に理解しているか等確認していく必要があると思います。
日本で語彙のみの問題集もあります。購入して家庭学習に取り入れるのも良い方法でしょう。

Q. カタカナや漢字はドリルなどで練習させていますが、なかなか身が入らず定着しないようです。おすすめの具体的な学習法があれば教えてください。

カタカナはやはり使う機会が少ないので、幼児から4、5年やっても全部憶えられない子が沢山います。一度長期記憶に入ってしまえばほぼ忘れないとは思いますが、何度も書かせるしかないと思います。
低学年であればホワイトボードに書いて憶えさせる等、目先を変えたり、漢字は作文を書く時に使わせると憶える場合があるので、友だちに手紙を書く、保護者と交換日記、等漢字練習の為のノート書き以外の学習環境を作って、文章の中で書かせていくと文章作りも上手になり、漢字定着の一つの方法にもなるかと思います。後は、今は漢字練習のアプリもあるようです。子どもたちの大好きなipad等を利用するのも、良いのかもしれません。

Q. 普段話していると日本語は年齢相応にできているように感じますが、先生方が「日本語がおかしい」と気づくようなポイントがあれば教えてください。

家庭内での家族間の会話というのはその家族独特の言葉遣いに偏っている場合があります。また普段の会話というのは助詞を抜かして話をしています。
「ごはん、食べなさい」「バッグ持って」「スクールバス、もう来るよ」等。気づかないうちに生活に必要な言葉のみのルーティンになっている場合が多いです。時々、丁寧語で言う、等親御さんが気をつけていると、真似をして言う様になります。
親御さんからの一方的な指示の言葉のみで生活するのではなく、10のうち3つで良いので、できていないこと、しなくては行けない事について本人がどう思うのか聞いてみる、質問してみるのも、思っている事を話せるのかという確認にもなります。英語が混ざったり要領を得ない場合もありますが、我慢して本人が話すのを時間がかかっても聞く事がとても大事です。
それを聞いていれば、きちんと説明はできる、自分の言いたい事は言えている、こういう表現が分からないのだなど気づくと思います。
また、子どもの要求の言葉に対しても、「ママ、ティシュー」で終わらせない。「ティシューがどうしたの?」
「ティシューを取ってください」「お水が飲みたい」まで言えるかどうかも大事な確認になるかと思います。

Q. 国語の教科書を一緒に読んだり本の読み聞かせなどをしていますが、他に気軽に取り組める学びの形があれば教えてください。

日本語での指示の言葉が分かるか、語彙を増やすきっかけにもなりますので、お手伝いゲーム等は如何でしょうか?
例 ◎台所の冷蔵庫の横にある食器棚についている左の引き出しからお箸を二膳持って来てください。
  ◎台所の水道の蛇口の下にコップを置いて、半分くらいまで水を入れてこぼさない様に持って来て下さい。
  ◎玄関の自分の靴で直に履かない靴を靴箱に仕舞って来てください。等
日本語は同じ名詞、同じ意味の動詞であっても色々な言い方が有る事を知る、長い文章でも一度に聞いて理解して行動に移せるかなど、試してみるとよいでしょう。

【質問:小学校中・高学年編】

Q. この時期の国語力維持・向上について、注意すべきことがあれば教えてください。

読書は欠かせません。また日本語での一定の家庭学習時間の確保が大事です。塾等の宿題の他に自主学習を取り入れては如何でしょうか?自分の興味あることを調べてノートにまとめる等。テーマは何でも良いと思います。
また、忙しいスケジュールを縫っての家庭学習となると思いますので、時間を区切って。30分集中して、また次の事へなどだらだらしない事が大事です。
ローカル、インター校の学習も難しくなって来る頃です。尚更英語に傾きがちになります。出来たら、習い事は日本語環境でされた方が日本語力維持の一助になると思います。

Q. 日本語より英語の方が語彙が多く、なかなか日本語の言葉の幅が広がらないようです。対処法があれば教えてください。

マンガでも良いので日本語の本を読みましょう。お友達と遊ぶ時も出来たら日本人のお子さんと遊ぶ機会を多く持つのが良いですね。習い事で仲良くしている日本人小学校に通われているお子さん等。英語で話してしまってはあまり意味がありません。
習い事は日本語で是非させてください。物理的に日本語を話す時間を長くするしか、なかなか語彙を増やすのは難しいとは思います。意識して日本語環境を作って行く事が大事です。

Q. 中学受験を考えていますが、インター校生でも受験の国語力を養うことはできるでしょうか。家庭でできることがあれば教えてください。

受験したい中学を絞って行き、受験対策は必須です。満遍なく行っている時間はないと思います。教科のペーパー試験の他に、作文が有る等、小1から作文を頑張っているお子さまもいらっしゃいます。
またご家庭にご両親のご友人が集まる機会に、親以外の大人ときちんとした日本語で挨拶をし、話せるか。もし仲の良いご友人でしたら、事前に何個か質問をしてみて、とお願いしてみるのも良いかもしれません。聞かれた事に的確に丁寧な日本語で答えられるか。
そのような経験を積んでいくと面接でも困りませんね。

Q. 英語も日本語も中途半端になっていくようで親子ともに自己嫌悪に陥っています。子どもたちにどんな言葉をかけていけば良いでしょうか。

バイリンガルへの道は長く険しいです。ですが、今ここで止めてしまっては勿体ないです。諦めない事、また『継続は力なり』を信じて細くても良いから長く続ける事。
お子さまですので、発達の段階、年齢、思春期等によってモチベーションを保つ事が難しいのは確かです。『将来必ず役に立つ』と信じて、無理をしないように小さな目標を決めながらクリアしていく、くらいのスタンスで頑張りましょう。
両方ネイティブレベルを最初から狙ってはきっと無理が生じると思います。いよいよの時は日本人としての日本語を優先させ、英語はコミュニケーションツールとしてと割り切る等の方向転換も必要かもしれません。英語が第一言語のお子さまも然りです。
長い道のりではありますが、お子さんの成長はあっという間です。それをふまえて、出来ない、したくない時があっても当たりまえ、親子で一緒に頑張りましょう、後悔しないように、という気持ちで取り組んで下さい。

Q. その他、日本語の維持・習得において普段のご指導の中で気づいた点や海外で子育てをしている保護者に伝えたいことがあればお願いいたします。

香港、シンガポールで20年海外で育つお子さまに関わり続けて思う事は、本当に親子で良く頑張られているな、という事です。日本での日々の学校生活、塾、習い事等、それでも大変なのに、海外で日本語以外の言語環境で二カ国語以上を学んでいる子どもたちのサポートをされている親御さん、日々忙しく頑張っているお子さま達には頭が下がります。まずはそのことを忘れないで下さい。
お子さまも何故日本語も学ばなければいけないのか、英語ができるのだからそれでいいのに、お母さんやお父さんが言うから、というモチベーションで取り組まれているお子さまも多いでしょう。学ぶ意味を見いだせなければそれを身に付ける事が如何に難しいか、経験した人にしか分からないと思います。
ご両親が帰国子女でご自分のお子さんと同じ経験を持つ方なら、自分が子どもだった頃の事を思い出せば、お子さまへの理解は深まるでしょう。
でも経験のないご両親もお子さまへの思いは同じです。『将来必ず役に立つから』それは間違いありませんが、思い込みすぎないことです。自分が経験した事が無い事を我が子にさせている事、でも私も親として頑張っている。
常に、俯瞰で自分とお子さんの状態を見る事を忘れないで下さい。そうすれば必要以上に落ち込む事も無いでしょうし、少しずつでも前に進んで行けると思います。
また、習い事、日本語補習、英語での学校の生活が忙し過ぎて人としての大事な事を忘れてはいけません。忙しいけれども折に触れてお子さま達を取り巻く環境や日々の出来事、社会の色々な事柄について話し合い、『心を育てる』事を忘れないで下さい。
どんなに英語が上手に話せても、またバイリンガルになれたとしても心が無ければ本末転倒。自分の心を人に伝える為、相手の心を受け取るための言語である事を忘れないで下さい。

こどもクラブの詳細はこちら。
https://spring-js.com/singapore/972/

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