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企業からの声

弁護士法人One Asia Lawyers パートナー弁護士 シンガポールオフィス 森 和孝 氏

2022.06.24

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現在のビジネスには宇宙やAIなど、さまざまな新しい分野が誕生しています。関連の法律も、世界中で毎日数本という勢いで増えています。

企業が新しい分野に安心して参入するためには、法律の情報を集約しビジネスモデルに沿ったアドバイスが必須です。海外に拠点を置いて最新の分野に熟知した専門家が、 今まさに求められています。

グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。
企業の方からお話をうかがいました。

Q. 御事務所について教えてください。

One Asia Lawyersグループは、アジア各国の法律に関するアドバイスをワンストップで提供するために設立された、日本で最初のローファームグループです。2016年に設立し、日本には東京・大阪・福岡の3拠点があり、海外にはシンガポールをはじめアジア・オセアニア全域を中心に15ヵ国17拠点※1に350名体制で展開しています。さらにアジア以外にも業務は拡大しており、私自身はヨーロッパの責任者として年の1/4ほど現地に赴いています。
近年のASEANおよび南アジア各国の急速な経済発展により、企業はそのような地域全体を一つのビジネス圏として捉える傾向にあります。シンガポールに進出している企業も、当地だけでサービスや製品を提供していることは稀です。弊グループではシンガポールを窓口に、日本はもちろん、例えばベトナムやフィリピンなどASEAN・南アジア・オセアニアなどにおける法務も相談できる体制を構築しています。
各国ではローカルの弁護士とそれぞれの拠点にいる日本人弁護士が、 現地で法務サポートをしています。内容はM&A、統括会社設立/アジア子会社再編、紛争解決、コンプライアンス対応、不動産、ファイナンス、労働法、知的財産、フィンテック、Web3関連支援※2、スタートアップ支援などがあります。

※1 …シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、南アジア、オーストラリア、ニュージーランド、東京、大阪、福岡
※2 …暗号通貨やNFTなどのブロックチェーン技術を基幹とする、個々が所有し利用する分散型の次世代型インターネット

弁護士法人One Asia Lawyers パートナー弁護士 シンガポールオフィス 森 和孝 氏

Q. 各国の弁護士資格や法律の違いとは。

日本人弁護士のみでサービスを提供できる国もあれば、他の条件が必要な国もあります。例えばシンガポールでは、法廷に立てるのは当地の資格を持つ弁護士のみです。外国法弁護士の場合にはシンガポール法が直接扱える資格と国際法に限定される資格などに分かれています。弊 所には、日本人の弁護士でも日本の資格ではなく、オーストラリアやシンガポールの大学を卒業し現地の資格を取得した弁護士も多く在籍しています。日本人でありながら各国の法廷に立つことができ、サービスの幅が広い点が弊所の特色です。
各国の法律においては、言葉そのものも重要な要素となります。例えば、インドネシアには「言語法」という法律があり、同国においてインドネシアの個人・法人が当事者である契約書は、必ずインドネシア語で締結しなければなりません。外資系企業はどの国においても英語での契約 が万能だと思いがちです。しかし、実際にインドネシアの最高裁判所は「インドネシア語で締結していない契約書は無効」と判断し、米国企業の貸付金返還請求を棄却しました。海外でのビジネス展開には、現地の法律を熟知する専門家が必要なのです。

Q. どのような人材が求められていますか。

現状では、在籍する日本人弁護士のうち9割以上が日本の司法試験合格者ですが、米国などでの留学経験者や元々海外に住んでいた人など、英語が堪能な人が多いです。現地の弁護士は地元の大学を卒業している人が多く、男女の比率は半々程度です。国籍・性別・年齢・経験がさまざまなメンバーが集まることで、最も適切な解決策を提案できると考えています。
弁護士というと、六法全書を覚えて聞かれたことを「民法何条で…」と原理原則を答える硬いイメージを持っている方も多いかもしれません。しかしそのような定型化した業務は近い将来AIが代わりにしますので、これから必要とされる資質は、クライアントの利益最大化・問題解決のために「考え抜く」力があるかどうかです。弁護士はリスクを伝えることも仕事ですが、単に「リスクがある」と答えるだけではなく、「どのようなリスク 回避策があるか」まで踏み込んだアドバイスも求められます。
現在のビジネスには宇宙やA Iなど、さまざまな新しい分野が誕生しています。関連の法律も、世界中で毎日数本という勢いで増えています。企業が新しい分野に安心して参入するためには、法律の情報を集約しビジネスモデルに沿ったアドバイスが必須です。しかし、その水先案内人となれる弁護士は不足しています。海外に拠点を置いて最新の分野に熟知した専門家が、今まさに求められています。
日本で弁護士を目指すということは、通常は法科大学院に通うため新卒切符を捨てるというリスクがあることも確かです。しかし、弁護士になった後、仕事の幅は非常に大きいのです。私自身の話で例えると、17年から「ブロックチェーン」に特化した弁護士となったことで「Web3」がトレンド になった今では、その分野での第一人者と評価されるようになりました。
このように法曹界では貪欲に新しい分野に取り組み「挑戦し続け人材」が必要なため、人材育成にも注力しています。大学生をアジア各国のオフィスでインターンとして受け入れ、所属する日本人弁護士に各国の弁護士資格取得を推奨し全面的なサポートを用意しています。また、希望に応じて、国を越えた所属事務所の移動もあります。最終的には、それぞれの日本人スタッフがどの国の専門家になるかを自ら選び、その本拠地に長期的にとどまりキャリアを積んでいくことができる体制を目指しているのです。

Q. 日系法人として大切にしている価値観とは。

最優先事項は、「スピードとコスト」です。日本人弁護士が各国に所属し、現地の弁護士とともにお客さまに対応することで、スピード感のある サービスを提供しています。また、コストを削減し明瞭会計にすることで、お客さまから信頼をいただいています。
2つ目は、クライアントが求める「痒いところに手が届く」サービスです。日本的なきめ細やかさは、「過剰なサービス」と揶揄されることもありますが、日頃の業務ではやはり結論に至るまでの過程も大切にすることが重要だと感じています。
3つ目は、「密に連絡をとる」ことです。海外では「暗黙の了解」も「空気を読め」も一切通用しません。そのため、業務を遂行するために非常に密に連絡をとるよう心がけています。例えば、締め切りが1週間であれば、1日単位、さらには時間単位で進捗を確認することもあります。日系企業の「時間」に関する考え方は、非日本人スタッフにはしっかり説明する必要があり、休暇や家族の優先度が高い各国の価値観を踏まえて、業務を進める上では入念なすり合わせをすることも重要です。
4つ目は「考え、伝える力」です。日系に限らず世界共通で重要ですが、 弊所では各弁護士が担当国の法律や実務を広く一般の方にも理解できる ようにニュースレターなどを執筆し、ウェブサイトで随時公開しています。

Q. 海外で子育てをされているご家庭へのメッセージをお願いします。

かつての私たちは「スマホやインターネットが席巻する世界」を想像すらしませんでした。次に到来するのが「メタバース(仮想空間)」の時代なのか、あるいは全く別の何かなのかは簡単には予想できません。しかし、一つ言えるとすれば、そこには「想像」と「創造」という人間の知的な活動は残っていく、ということではないでしょうか。お子さまたちにはぜひ、既成のルールがあっても「親に言われたからダメだ」「学校で決まっている から諦める」とすぐに納得するのではなく、「どうしてなのか」「他の方法 はあるか」を考える子になってほしいと思います。
また、ITの活用にはさまざまな意見がありますが、私も子育て中の父 としてITネイティブである子どもたちには、保護者の必要最小限の監督のもとでオンラインゲームやSNSなどIT全般において、「新しいこと」にはどんどんチャレンジしてほしいと考えています。犯罪や大怪我といった取り返しのつかないことには万全を期して避ける必要がありますが、何かに挑戦し少々痛い目に合うことは大切な経験であり、その経験こそが将来大きな意味を持つことは間違いありません。関心があることを何でも試してみるという「行動力」こそが、これからの時代の鍵だと思います。
私には小学校以来、今でもお世話になっている先生がいます。その先生は、「好きなことを自由に学ぶこと」を宿題に課しました。おかげで小学生当時2年間休まず自由学習を続け、学ぶ面白さを知りました。さらに大学時代には、先生の紹介でダウン症のお子さんと学ぶ支援学級をサポートし、誰もが受け入れられる「インクルーシブ教育」の中で子どもが 「思いやり」と「想像力」を育む様子を間近に見ることができました。
現在日本では、海外に在留する日本人の子どもたちが、在外教育施設で日本国内の学校教育に準じた教育を受けられるように、そして令和の時代に海外で生きる子どもたちの多様なニーズに応えようと、議論が進んでいます。6月7日には「在外教育施設における教育の振興に 関する法律案」が衆議院で全会一致で可決されました。これは、海外の教育施設が国内と同等の環境を持つよう国に義務付けるため、これまで以上に予算と人員が割り当てられ、特別支援級体制をはじめ充実した教育環境の整備が期待されます。海外在住のお子さんが、子ども自身の発想を無限に開花させてくれる先生や良い仲間とめぐり会い、「自分で考え即行動し、思いやりを持てる人」に成長できますよう、願ってやみません。 

会社概要

弁護士法人 One Asia Lawyers

アジア各国の法律に関するアドバイスをワンストップで提供するために2016年に設立された、日本で最初のローファームグループ。アジア・オセアニア全域を中心に15ヵ国17拠点に展開し、M&A、統括会社設立、知的財産、フィンテック、Web3関連など多岐にわたり法務サポートを行う。

森 和孝 氏

2010年弁護士登録、14年中小企業診断士登録を経て、17年からシンガポールにて現職。

同年より 日系ブロックチェーン企業の海外展開支援を担当、Web3スタートアップへのエンジェル投資も実 施。

18年シンガポール外国人弁護士登録。神戸大学客員教授、シンガポール国立大学非常勤講師 のほか、22年より経済産業省「対日直接投資推進会議」有識者委員。

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