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グローバル教育

企業からの声

日本航空株式会社 シンガポール支店 支店長 山下 康次郎 氏

2016.11.25

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コスト意識を持ちながらも、日本らしい質の高いサービスをグローバルに展開している御社ですが、それを支える人材としては、どのような方を求めていらっしゃいますか。

当社の地上職の採用で顕著なのは、女性の採用が多い点でしょうか。男女別の採用枠を設けているわけでなく、できるだけ優秀な方を採用していったら結果的に女性が多くなっています。この場合の優秀さというのは、論理的な思考力やコミュニケーション能力、議論をした時にきちんとリーダーシップをとれる、といった能力を見ています。

昇進制度においては、課長昇格の審査は外部機関が実施しており、リーダーシップ力を中心にシミュレーション問題を課しています。年功序列でもなければ男女差もなく、ポジションの数は一定ですので、試験によって昇格する方がいれば、降格する方も出てくる厳しい制度です。そうした中で部長職にも役員職にも女性が登用されています。有能な人材をきちんと認めて登用していくことは、経営の重要な柱の一つです。

日本航空株式会社 シンガポール支店 支店長 山下 康次郎 氏

日本航空株式会社 シンガポール支店 支店長 山下 康次郎 氏

また海外では、重要なポストを現地の人材や、或いはインターナショナルに採用することも増えており、人材のグローバル化も更に進むでしょう。シンガポールの支社は現在20名体制ですが、本社から駐在で派遣されている日本人職員は私を含めて2名だけです。シンガポール人の人材は論理的な思考力が高く、コミュニケーション面でも議論や交渉が巧みで、日本人が学ぶべきことも多いと感じます。一方で、現地のスタッフには前述した「考え方」の軸を持つことや、「一歩進んだ感謝の気持ちを持つ」「地味な努力を積み重ねる」などの「JALフィロソフィー」を理解してもらうために、多くの時間と労力を費やしています。

シンガポールと日本の人材を見てこられて感じる、日本のこれからの「教育のあり方」についてのお考えをお聞かせください。

以前、インターンシップで訪れている日本の国立大学の学生と、シンガポールの大学生とがディベートする様子を知る機会がありました。日本の学生は英語力以前に、理論の展開がうまくできず、完膚なきまでに惨敗を喫していました。

このような例はよく耳にする話ですが、従来の日本の教育には、論理的な思考をもとにアウトプットする訓練が圧倒的に足りていないことが背景にあります。大学入試のために膨大な量の知識を培っているにも関わらず、大学ではその知識をアウトプットする手法を学べていません。本来そういった訓練は高校生くらいからやるべきでしょうが、日本では大学受験のための知識をインプットする勉強に時間をとられて、アウトプットの練習に時間をさけていないように思います。

厳しい受験競争を乗り越えた「金の卵」である人材を社会に送り出す、その最終過程である「大学」という場での教育のあり方は、もっと議論されるべきでしょう。そして現状の入試対策以外に高校生の内にやっておくべきことについても、大学入試改革の議論と共に、グローバル社会を念頭に置いて深めていく必要があると思います。

もちろん、日本の教育にも優れた点は数多くあります。日本人は一般的に基本的な能力は押しなべて高く真面目で信頼できます。「コミュニケーション能力が低い」という指摘もありますが、例えば「1を言われたら10までわかる」というような行間を読む力や、問題の本質を捉える力にも秀でています。これらの優れた点は、これからも大切にしていってほしいと思います。

海外で子育てされているご家庭に、メッセージをお願いします。

日本航空株式会社 シンガポール支店 支店長 山下 康次郎 氏

日本航空株式会社 シンガポール支店 支店長 山下 康次郎 氏

私自身も本社に20年務めた後の海外勤務ですので、今も新しい気づきや学びが多くあります。シンガポール駐在で特に感じるのは「多様性を許容できること」の大切さです。シンガポールではどんな組織でも多様であり、さらにその多様な人たちが平和に共存している、稀有な環境です。日本人のお子さんたちには、「これが世界なんだ」ということをよく理解して、このような世界で生きていく術を少しでも身につけてほしいと思います。同時に、日本という国は大変画一性の高い社会で、ある意味「世界的に見れば特殊な国である」ということも意識して伝えておくべきことだと思います。

誤解してはいけないのが、多様性を許容するということは、多様な周囲に迎合するということではない、という点です。日本人としての、或いは自分なりの軸をしっかりと持った上で、相手の言い分に対しては聞く耳を持ち、それを理解した上で、論理的に考え、意見を整理して伝えることができる、議論ができる、ということです。その時に必ず、「自分は正しい考え方をしているか」と自身に問うてほしいですね。これが「ぶれない軸を持つ」ことにつながっていくと思います。このような意識を持ちながら学生の内にグローバルに通用するスキルを身につけていけば、将来も確実に活躍の場が広がるのではないでしょうか。

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山下 康次郎 氏

1992年 日本航空入社
1996年 資金部
2004年 経営企画室 課長
2011年 財務部長
2015年 シンガポール支店長
    シンガポール日本人学校運営理事会理事長

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