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国際バカロレア

なぜ「国際バカロレア」なのか | 第4回 大学編

2016.03.25

  • 国際バカロレア(IB)
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東京大学 常盤 馨(ときわ かおり)さん

東京大学 常盤 馨(ときわ かおり)さん

小学1年~中学2年 オランダ United World College of Maastricht
→中学2年~3年 シンガポール Overseas Family School
→中学3年~高校卒業まで 同 United World College of South East Asia(Dover Campus)
→東京大学教養学部文科二類、海外子女向けオンライン家庭教師EDUBALにてインターン中

「東京大学では、はじめの二年間は全員教養学部に属し、文系理系を問わず自由に好きな科目を学べるシステムとなっており、好奇心の赴くままに多様な勉強をすることができます。3年からは経済学部を専攻する予定です。CASの一環でミャンマーへ行った際に、地域格差を目の当たりにしたことで、将来は途上国の経済発展に貢献したいと考えたからです」

「私にとってのIB」
私は進路の候補として日本の大学しか視野になかったため、IBDPは非常に有利だと思いました。各国の大学からの評価も高く、やりがいがある、と人気を集めているほか、日本の多くの高校でも近いうちに導入されるというだけあって、日本の大学からのIBの評価はかなり高いと帰国受験を通して感じました。

①5歳の時にオランダに引っ越し、インターナショナルスクールに8年間通学。

②Grade 11の時に通っていたインター校がIBDPしか提供していなかったため。Grade 10の時の自分の学力レベルがIBDPを選択する上で特に問題ないと考えたため躊躇なく進学しました。

③苦労した点は、取りたい科目と自分の実力のバランスを取ることでした。IBで高得点を取ることが第一の目標だと感じたので、「高得点が見込める科目」を優先的に選択しました。IBDPの二年間は一つ一つの課題やテストをこなすのに精一杯でした。
IBDPの学びで特徴的だと思うのが、多様な学び方です。Geographyなどの社会科学の科目ではFieldworkおよび課外授業の一環でマレーシアに一泊したこともありました。IBDPは、先生の講義を聞いて机に向かい、知識を詰め込むばかりではなく、多様な学び方で生徒を楽しませているのだと思います。
学期末になると複数の科目が単元の終わりに近づき、いくつものテストや提出課題の期限が重なってしまうことが多々ありました。これらに加えてCASやその他課外活動をこなすことが要求されるので、睡眠時間を十分に取ることが難しく、授業中集中できない、といった悪循環に陥ることも頻繁にありました。2年通して息をつく間がない、というのがIBで一番苦しかった点だと思います。

ハイスコアを取るために心がけたこと
■ 各科目の年間予定を把握し、重要項目を把握した上で授業に出る。
■ 「考え方」が問われる科目では教師やクラスメートの意見や考え方などを細かく書き出しておく
■ 数年分の過去問を一通り網羅して問題のパターンを頭に叩き込む

Q. IBDPの選択科目は。
HL:Japanese A Literature, Maths, Physics
SL:English A Language and Literature, Geography, Chemistry

日本の大学に進学希望で、日本語(長編小説を読解する能力、論文を書き上げる能力)の向上および維持のためにHLのJapanese A Literatureを選択。IB科目を選択した当時は理系に進もうと考えていたためMaths、PhysicsもHLで選択。 Physicsは暗記量が比較的少ないと聞いていたことからBiologyやChemistryより苦手意識が弱く、HLで選択。
個人的に英語にはあまり自信がなかったため、English A Literatureより負担が軽いと言われていたEnglish A Language and LiteratureをSLで選択。文系科目に特にこだわりがなく、Grade 10で取っていたGeographyをそのまま継続。ChemistryはHLはかなり大変だと先輩から教えられ、SLで選択。

Q. 工夫された学習法は
[1]Syllabusを確認
Syllabusに一通り目を通すことで、これから授業でどんなことを教えられるのか、そして自分はそこから何を学ぶべきかがある程度分かります。重要なポイントを事前に頭に入れておくと、効率的に授業を受けることができます。

[2]教師・クラスメイトの発言は細かくメモを取っておく
English, Languages, TOKなど「考え方」が問われる科目では教師の意見や考え方などを細かく書き出しておくことで、視野が広がり自分のエッセイのargumentを考える糸口になります。饒舌な先生の授業では授業中先生の話をひたすらパソコンで書き取っている時もありました。

[3]過去問を徹底的に解く
似たような問題が例年繰り返し出されることがあるため、数年分の過去問を一通り網羅して問題のパターンを頭に叩き込みました。解答例も詳しく見て、どこで加点されるのか把握し「点数が取れる解答」を書く練習を繰り返しました。

上記のコツを駆使したこと、また点数が伸びずとも辛抱強く粘って勉強を続けたことで最終的には得点を伸ばすことができました。Grade 10からIBに上がった当初は、自分の成績が全ての科目で一段階以上下がり大きなショックを受けました。特にMaths HLでは、最後の模擬試験まで目標の点数より2段階低い点を取ってばかりでした。ですが、それに懲りずしぶとく勉強を続けたことで目標以上の点数を取ることに成功したのだと思います。

Q. CASとTOKとは
CASとは、Creativity, Action, Serviceの略で、IB Diplomaを取得するうえで全生徒が修了しなくてはならない課外活動のようなものです。Creativity、すなわち創造性、とは生徒が活動を企画し実行することや、幅広い芸術的な活動を指します。何かのプロジェクトに関して、リーダーシップを発揮して企画することや、楽器や絵画などの習い事、部活動などがCreativityとして認められます。私はフルートを学んだり、学園祭で発表するダンスをつくるリーダーを担ったりしました。
Action、直訳すると活動ですが、これも幅広い意味を持っています。個人、団体スポーツに限らず、エクスペディション(目的を持った遠征、旅行)や国際的なプロジェクトに参加することもActionに含まれます。具体的な例としては、体育系の部活動や登山旅行に行くなどです。国際的なプロジェクトといえば、私は学校が主催する中国の孤児院を支援する団体に入っていました。
Serviceとは社会奉仕活動、慈善活動を指します。日本でいうボランティア活動に近い意味を持ちます。特別なニーズを持った人を助ける活動や、地域の人々と交流する活動、病院への訪問などが挙げられます。私は学校が用意してくれたボランティアに11年生の頃毎週一日参加していました。活動内容は地域の障害者ホームへ赴き、障害を持つ患者さんたちと交流することです。
CASはFinal Examとは違ってIB機構に正式に評価されることはなく、学校側と生徒の間でCASの進捗状況は審査されます。CASで高い評価をもらうには、活動時間の最低条件はもちろん満たした上でいわば活動記録ともいえるCAS Reflectionsをしっかり書くこと、そして学校のCAS AdvisorおよびCAS Supervisorに良い印象をあたえることが重要だと思います。
IBDPで生徒全員が必ずこなさなくてはならないCASはやはり大学へのアピールに非常に効果的です。私の場合、CASの一環でミャンマーへボランティアをしに行った経験を志望動機の根拠とし、各大学の面接で使い倒した結果、面接官は非常に興味を持ってくれました。
一方、TOKは「考え方」を問う科目です。日本語に訳すと「知識の理論」となりますが、文字通り「知識の本質」について学びます。「知る」ということはどういうことなのか、私たちは何を知っているのか、などを考えることで生徒の批判的思考を培うことを目的とする科目です。考え方によって社会問題への取り組みや観点が変わることを学びます。最終的にはKnowledge Issue、すなわち4 ways of knowingの観点から評価できる社会問題を、Emotion、Reason、Sense-perception、Languageの観点から私たちはどう評価するべきなのか、といったテーマでプレゼンやエッセイを提出します。

Q. 大学入学までのタイムライン
受験する年の6~7月 大学のホームページや帰国受験の雑誌、予備校から、帰国生入試の募集要項を入手。
IB時代はIBの点数を延ばすことに集中し、IBのサポートのために塾に通っていました。UWCを卒業してからは、大学受験まで半年以上あったため、予備校に通って帰国受験の勉強(小論文対策、英語、面接など)をしました。

7月 慶応義塾大学や早稲田大学の出願提出
9月 合格通知
11月 東京大学出願
翌1月 京都大学出願
2月 京都大学合格通知
3月 東京大学合格通知

Q. 今感じていること・現在の大学生活について
現在は教養学部で関心のある科目を自由に取っています。1年生の間は中国語やドイツ語など新しい言語を始めてみたり、心理や開発経済などIBで学んだことのなかった学問に触れたりしました。他にも環境問題に焦点を当てた授業、国際社会における平和構築を考える授業、美術作品を分析する授業など、多岐にわたる科目を履修して教養学部を満喫しています。サークルでは法、社会、人権を考えるゼミに入り、あらゆる社会問題をその分野の専門家の話を聞いたり、現場を見に行ったりして考える活動をしています。学園祭ではクラスメイトとバンドを組んで、ステージで歌わせてもらいました。学校外ではEDUBALというオンライン家庭教師の会社で、海外子女のより良い教育サービスを考え、作っていくインターンを行っています。
IBDPの2年間は長いようで一瞬で終わってしまう非常に充実した教育プログラムです。CAS、TOK、EEなどのIBの特徴から、なるべく多くのことを吸収してください。多くのことを吸収すればするほど、皆さんは大学にとってより魅力的な人材となります。また、IBDPで得た考える力、活動する力、社会に対する問題意識は日本で学習する高校生たちが持っていない貴重な能力です。その特別な能力を伸ばすことを怠らずに、全力でIBと戦ってください。

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