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私学5校本音トーク

私学5校 教育本音トーク【後編】 ~グローバル時代の海外生受け入れ~

2012.03.23

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帰国生を積極的に受け入れている私立学校の中から、海城中学校高 等学校・聖学院中学校高等学校・洗足学園中学高等学校・富士見丘中 学高等学校・茗溪学園中学校高等学校の先生方にご参加頂き、前回は各学校の受入れ状況を聞きました。

グローバル化と教育(前編からの続き)

司会:現実に日本の大学に入学したものの、教育環境や教育の質に満足せ ず、退学してしまう帰国生が数多くいます。大学の教育の質が低いこと、 勉強する環境ではないこと、インター校で懸命に頑張ったIB(International Baccalaureate)の結果が評価されないこと等が理由です。そのうち経済的 に余裕のある学生は海外の大学に進学していきます。日本の大学教育がグローバル化の流れに追いついていないということでしょう。

司会の 後藤 敏夫 氏(World Creative Educations代表)

海城:グローバル化は、具体的には労働市場のグローバル化として現れ、 それは人材のグローバル化につながります。OECD(経済協力開発機構) が3 年毎に実施しているPISA テストは、こうした労働力としてのグロー バルな能力を指標化すべく開発されたテストで、そこには全人教育的な発想は全くありません。

 海城が帰国生を受け入れる際に、専門家にこれまでの本校の教育プロ グラムを検証してもらったところ、20 年に亘る学校改革の取り組み(社 会科・理科の探求型総合学習の積極的な導入等)により、新しい学力としてのクリティカル・シンキングの力を養成することはおおよそ出来て いてPISA の水準は超えている。今後はIB に目を向けるように言われまし た。ここぞという所で、価値判断(価値軸)が大きくぶれることのない真 のリーダーの育成には、IBの持つ良質のリベラルアーツ教育が必要だというのです。

海城中学校高等学校教頭 中田 大成 氏

 更に世界でリーダーになるには、リスクテイクする精神が必要だとも言 われました。そのためにも、「これからは若いうちに一度は海外に出なくて はダメなんです」と言ったら、ある母親に「怖くて出したくない。男の子 は未知なる世界は怖いんです」と言われ頭を抱えたこともありました。(笑)

茗溪:本校は、男女ほぼ半々の共学校で、様々な活動の中に海外との交 流活動があります。2 週間の短期の交換留学制度(イギリスとニュージーランド)があり、この応募者は、2 対1 で女子が多い。また、科学研究活 動でアメリカでの調査研究活動の希望者を募ったら、やはり女子の方が 多く応募してきました。男子もいますが、明確で意欲的な意思表示をし てくる生徒は女子です。海外へ出て行く気持ちを持っている生徒も女子 の方が多い。本校に入学してくる生徒は、外向き傾向がありますが、そ れでも茗溪の男子生徒の質が変わったのか、世の中全体の男子の傾向と も言われていますが、10年以上前に比べると男子の外向き傾向は減少し ていると言えます。全国大会出場のラグビー部でも、毎年留学希望者が いて、留学後もまたラグビーも頑張る生徒がいましたが、この7,8 年は 全くでてきていない状況です。いろいろなことに挑戦する気概が、男子 で低下してきたのか、もっとハッパをかけなければなりません。

茗溪学園中学校高等学校 校長 柴田 淳 氏

 母親が子離れできていないという傾向も感じます。子供の数が減った からか、一人っ子を手放せない親の気持ちなのか、親の意識改革も必要 かもしれません。

聖学院:草食系男子などと揶揄されているように、内向きな男子生徒や 若者が増えているかもしれません。夏に行政が行っている北米の海外研 修に参加した高2 の生徒の話ですが、短期留学( カナダ) を募集(15 名) し たら、65 名応募があり、内50 名が女子だったそうです。採用された生徒 は12 名が女子、男子は3名。また、昨年、ニューヨークの日本を代表す る企業数社の人事部長の方々とお話しする機会があり、海外勤務を打診 すると「できれば行きたくない」と答える若い社員が増えていると言う ショッキングな話を聞きました。小さい頃から安定志向を求めた両親に 育てられた子供がそうなるのではと危惧します。

司会:私どもでは、海外大学進学をサポートしていますが、実際の進学者の男女比は1:3 で、女子の方が数も多く積極的です。海外在住の子女 も同じような傾向があります。皆さんの学校は海外子女を積極的に受け入れていらっしゃいますが、どんな特徴があると思われますか?

海城:学校見学では子供の態度が明らかに違い、帰国生は人の話を聞けて礼儀正しく、大人や教員に対する恐れや敬意の念を持っています。ところが、国内の子の多くは礼儀を弁えない。また、親もそれを注意しない。海外から来た子は異質な人間に囲まれていたから無礼な行動はしないのでしょう。異質な人間たちの中で生きて行くという負荷を伴う訓練を経ないと謙虚さや自らを律する力は育たないと思います。

富士見丘中学高等学校校長・日本私立中学高等学校連合会会長 吉田 晋 氏

富士見丘:帰国生と接していつも感じるのは、国内生と比べて大人との接触経験が多いという点です。国内生は一般的に言って、狭い範囲での仲間のつきあいが濃密である反面、それ以外の人と話をしようという志向が貧弱です。これに対し、帰国生は、大人を含めた多様な人々との交流を経験しています。だから大人に対する礼儀を弁えていると思うのです。近年シンガポールとニューヨークで入学試験の面接を経験しましたが、ここでもそういう印象を強めました。

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