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シンガポールの大学の実情に迫る!

シンガポールの大学の実情に迫る!

2017.11.24

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小・中学生の学力調査やシンガポール算数など、シンガポールの教育水準の高さに、近年世界中が注目しています。最高学府である大学も、世界的に有名なQS世界大学ランキングやTimes Higher Education(THE)ランキングでは日本の大学を凌ぎ、アジアでトップという国際評価を得ています。
今回Springでは、そんなシンガポールの大学の実情に迫りました。

シンガポールの大学の実情に迫る!

写真提供:LASSALE College of the Arts

シンガポールの大学の実情に迫る!

写真提供:Singapore University of Technology and Design(SUTD)

シンガポールの大学の実情に迫る!

写真提供:LASSALE College of the Arts

なぜ、シンガポールの大学は世界で評価されているの?

<アジアにおける大学ランキング比較>シンガポールの大学の実情に迫る!
2018年QSランキング及びTimes Higher Education(THE)、 Asia University Rankings 2017をもとにSpring編集部作成。
※QSランキング(英大学評価機関クアクアレリ・シモンズ社(QS))の評価基準:「学界からの評判(30%)」「教職員による評判(20%)」「教員1人あたりに対する学生数(15%)」「論文引用率(10%)」など。THE世界大学ランキング(英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション)の評価基準:アジアは「教育リソース(38%)」「教育満足度(26%)」「教育成果(20%)」「国際性(16%)」など。

双方のランキングはスコア算出基準こそ異なるものの、NTU、NUSともにアジアのトップ層を占めています。QSランキングリサーチディレクターのBen Sowter氏は今回初めてトップを手にしたNTUに対し、「学界からの評判」、「教職員からの評判」、「教師陣の国際性(外国籍教員/国内教員の比率)」の3カテゴリーにおける秀でたスコアが同大学をトップに導いたと分析しています(チャンネルニュースアジアでの報道より)。※http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/ntu-tops-asia-in-qs-university-rankings-nus-drops-to-2nd-9317184

また、今回のランキングを受けてNUS学長であるTan Chorh Chuan氏は、「卒業生が未来の社会で活躍できる力を備えていること、生涯教育が確立していること、また経済・社会的進歩に貢献する世界規模のリサーチ研究に戦略的に焦点を置いてきたことが評価された」と語りました。教職員の研究論文数、引用された論文数では、NTUのそれをはるかに凌ぐ結果でTHEアジアランキングのトップを飾っています(同報道より)。※http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/ntu-overtakes-nus-in-latest-qs-university-rankings-8927306

企業との共同研究推進による「産学連携の推進」やシンガポール国外の教員・学生の招聘による「国際化」が、今回シンガポールの大学の順位を上げることに繋がったと言えるでしょう。

シンガポールの大学はどんなところ?

シンガポールには現在、国立・私立合わせて8つの大学があります。主な大学の概要を比較してみました。
※学費は助成金を受け取る場合。詳細はシンガポール教育省ウェブサイト参照: https://tgonline.moe.gov.sg/tgis/normal/studentViewTuitionGrantSubsidyInfo.action
※学費はすべて2017年11月現在のものです。学部やコースによって変動する場合があります。

シンガポールの大学の実情に迫る!

<文系から医療までの総合大学>
National University of Singapore(NUS)
シンガポール国立大学

1905年の設立以来、シンガポールにおいて最も有力な大学の1つとして成長を遂げてきました。世界100ヵ国から28,000名を超える学生が集まる国際色豊かなコミュニティーで、明日のリーダーたちを育てます。
【設立】1905年
【学生数】約28,000名
【授業料】S$17,450~
【ウェブサイト】http://www.nus.edu.sg/

<理系の幅広い研究が高評価>
Nanyang Technological University, Singapore(NTU)
南洋工科大学

もともとMBAで名高い大学ですが、近年学部における企業との連携やキャンパスの国際化も顕著に。今年度QSランキングでは堂々の1位を獲得し、世界規模における理系分野での存在感が光ります。
【設立】1991年
【学生数】約33,500名
【授業料】S$17,100~
【ウェブサイト】http://www.ntu.edu.sg/

<工学・デザインに特化>
Singapore University of Technology and Design(SUTD)
シンガポール工科デザイン大学

マサチューセッツ工科大学(MIT)などとの協賛で、製品開発工学、システム・設計工学、情報システム技術・設計、建築・持続可能な設計などのカリキュラムなどが充実。
【設立】2009年
【学生数】年間約467名(新規)
【授業料】S$26,000~
【ウェブサイト】http://sutd.edu.sg/

<アジアの芸術ハブを目指す>
LASALLE College of the Arts
ラサール芸術大学

デザイン、 ファッション、演劇、ダンスなどのカリキュラムが展開されています。生徒の35%は外国籍で、アジア諸国を中心に、約40ヵ国から学生が集まっています。
【設立】1985年
【学生数】- (未公表)
【授業料】S$23,600
【ウェブサイト】http://www.lasalle.edu.sg/

<実業界のエリートを養成>
Singapore Management University(SMU)
シンガポール経営大学

シンガポールにおける商学系最高峰。在学生には10,000社以上のインターンシップの場が提供されており、起業家やリーダーの登竜門と言っても過言ではありません。
【設立】1905年
【学生数】約37,000名
【授業料】S$29,350~
【ウェブサイト】https://www.smu.edu.sg/

<リベラルアーツの難関校>
Yale-NUS College
イェール・NUS大学

米国アイビー・リーグで名高い名門大学であるイェール大学とNUSによる、シンガポール初のリベラルアーツカレッジ。2年間の教養課程の後、14種の専攻から専門分野を選びます。
【設立】2013年
【学生数】約1,000名
【授業料】S$39,590~
【ウェブサイト】http://www.yale-nus.edu.sg/

Springが直接取材!
シンガポールの大学の魅力とは?

実際に大学で教鞭をとる教育者や学生たちは、どのような魅力を感じているのでしょうか。日星両国の大学で教鞭をとる大里氏と、シンガポールの大学に所属する日本人学生の皆さんにSpringが直接取材しました。

◇教育者の声
「産学連携」と「国際性」が進むシンガポール

シンガポール国立大学 癌科学研究所 准教授/
熊本大学 国際先端医学研究機構 教授
大里 元美 氏
シンガポールの大学の実情に迫る! 大里氏
シンガポールの大学へ学部留学を目指す方には「英語力」という点で、少し高いハードルがあることは事実です。しかし、助成金も得やすく、分野によっては日本よりも研究設備が整っており、世界でも類を見ない抜群の環境が整っていることは大きな魅力です。特にバイオメディスンや介護医療、人工知能などでは国をあげて力を入れているので、世界最高水準と言えるでしょう。

「国際化」の点でもかなり進んでいます。産学連携も大変推奨されており、ノーベル賞を取るような研究に力を注ぐというよりは、「実学偏重」が顕著であるのが日本との大きな違いだと感じます。

◇学生の声
助成金を活用、卒業後のキャリアにどう繋げていくかを強く意識。

■日本に比べ、高額な学費をどうしてる?

日本人を含む、シンガポール国籍を保持しない外国人学生(永住権保持者含む)は、シンガポール政府が提供する助成金システム(Tuition Grant Scheme)に申し込むことができ、学生の学費・寮費が一定額支給されます。授業料として$40,000以上賄える場合も少なくありません。その条件として、卒業後シンガポールで3年間の労働が義務づけられています。※その他、日本の海外留学関連機構や、シンガポールの各教育機関による奨学金を利用するのも1つの策でしょう。

※シンガポール国内であれば、日系企業・外資系企業など企業形態は問いませんが、どうしてもシンガポール国外で働く必要がある場合は、勤務先がシンガポール法人である必要があります。

イェール・NUS大学 中村 優希さん
シンガポールの大学の実情に迫る! 中村氏
入学の決め手となったのは、外国人が5割近くを占めるという国際性、学生や教授陣のレベルの高さ、そして海外へ行く機会が多くあるカリキュラムですが、返還不要の奨学金の受給も大切なポイントでした。4年間の学費と寮費がほぼ無料となり、親に負担をかけずにすんでいます。

■ 卒業後の就職をどう考える?

シンガポール大学の大きな特長は、実践性と実務性を重視しているところです。企業との協賛カリキュラムや、学生による積極的なインターンシップへの参加は当たり前のように浸透しています。実際に、SMUでは2016年度全学部において、大卒就職率90%以上という成果を出しています※。その他の大学学部でも非常に高い比率で、80%台後半以上を記録しています。

https://www.moe.gov.sg/docs/default-source/document/education/post-secondary/files/smu.pdf

ラサール芸術大学 加藤 美敏さん
シンガポールの大学の実情に迫る! 加藤さん
日本の服飾大学でファッションデザインを専攻するとパターン、洋裁など一般的に”ファッションデザイナー”になるための技術的なことだけを学ぶことが多いです。しかし、ラサールではメディア・ビジネス寄りの「業界に出ていかに自分を売り出すか」ということも学べたので、そこが強みだと思います。

■ シンガポールの大学を選ぶメリットは?

シンガポールの大学は国際化が進んでおり、外国人留学生とともに学ぶことが日常的です。英米豪州などの大学ではなく、シンガポールでこそ学ぶメリットはどこにあるのでしょうか。

イェール・NUS大学 菅原 花和子さん
シンガポールの大学の実情に迫る! 菅原さん
イエール・NUS大学ではアメリカとアジアの教育システムの「良いとこ取り」をすることができます。例えば、一般教養の授業ではアメリカの大学の特徴である小規模なディスカッションを中心に、アジアとアメリカの文化や根本的な考え方について学ぶことができます。

Springウェブサイト限定!
各日本人学生からの回答を全て公開

「進学前の英語のレベルは?」「進学先をどう決めた?」「学生生活で特に気に入っている点は?」など詳細なコメントをぜひご覧ください!

中村 優希 さん
大学名: イェールNUS 大学
学部: Liberal Arts (2年生の終わりに専門分野を選択)
出身高校:United World College of South East Asia (Dover Campus, Singapore)

1. 大学出願・進学準備など
高校2年生の1月頃から、大学進学のアドバイザーと、興味のある分野や大学の地域について話し合いました。夏までの間は、具体的にどこに願書を出すのかを何度かのミーティングの上、選択しました。夏休み中は、応募過程の詳細や出願基準を調べ、願書に必要な資料などを集めました。高校3年生の9月にイギリスの大学への一斉アプリケーションがあり、12月から翌年の3月にかけては、日本・シンガポール・香港などの大学へ願書しました。出願後、約1〜2ヵ月後に合否の結果が届きました。

2. 同大学への入学を決定した理由
合格をいただいた世界の有名大学の中で、海外の大学へ行くか、日本の大学で勉強するか、時間をかけて考えました。学校からの資料、ウェブ情報、学校訪問、在校生へのインタビューなどを参考にしながら決め手となったのは、外国人が5割近くを占めるという国際性、学生や教授陣のレベルの高さ、そして海外へ行く機会が多くあるカリキュラムでした。また、返還不要の奨学金をいただけることが決まり、親に負担をかけないで済むこと、愛着のあるシンガポールで引き続き勉強できるということも大切なポイントになりました。

3. 大学で充実している・魅力を感じている点
イェールNUSのコースの特徴は全生徒必修のCommon Curriculumです。最初の2年は、政治学や哲学、統計学、化学などを幅広く勉強することができます。また、米国Yale大学と同様の4年間全寮制で、今年は、オーストリア、オーストラリア、イタリア、チュニジア、そしてシンガポールからきた同級生6人で、リビングをシェアする部屋に住んでいます。毎日夜遅くまで、自身の母国の政治や、文化について意見を交換するなど、日常生活の中で、大変貴重な経験ができています。

先の夏休みに2ヵ月、海外留学支援制度を利用しパリ政治学院にてフランス語留学をしました。親からも友人からも離れて一人暮らしというのは勇気がいりましたが、とても楽しく貴重な経験でした。

4. シンガポールで苦労している点
高校のIB(※)で鍛えられていたにもかかわらず、実際は扱うテーマの難易度の高さ、読書量の多さに面喰らいました。毎週のように論文提出、授業によっては中間試験、最終試験もあり、非常に大変です。日本の大学へ進学した友だちのアルバイト・部活三昧の生活とは程遠いですが、シンガポールの高校から来たクラスメイトたちは努力家が多く、いつも良い刺激を受けています。

5. 卒業までの目標・将来の夢は
高校生のころから、日本と世界の懸け橋になるような仕事をしたい、と漠然と考えていました。具体的な分野や職種については決まっていませんが、今後も幅広い分野の勉強をすることによって自分の興味を見極めていきたいと思っています。

どんな形であれ、よりミクロに世界の人々とつながるために、語学は続けたいです。現在、日本語・英語・フランス語に加え、中国語も勉強しています。

※International Barcarole (国際バカロレア)

追加で質問!
6. 「シンガポールの大学」は世界の大学ランキングで上位になっていますが、なぜ、世界的に評価が高いと思われますか。ご自分の体験談や個人的な意見としてお聞かせください。
イェールNUS 大学はシンガポール国立大学によって創立されましたが、独立した大学です。憶測でしか言えませんが、世界中から呼び寄せられた優秀な教授陣と、勉学に対する意識が非常に高い学生側の両方により、シンガポールの大学は優れた人材輩出に繋がっていると思います。さらに、国際語である英語で授業を行うことによって、研究成果が世界から、より効果的に評価されているのではないかと思います。

加藤 美敏 さん
大学名:ラサール芸術大学 ファッション専攻
出身高校:県立秦野高等学校

1. 大学出願・進学準備など
もともと英語はある程度話せましたが、それを証明するもの(TOEFLまたはIELTS)が必要であったため、高校在学中に約1年ほど英会話教室にも通いました。高校卒業後は3ヵ月ほど語学留学をし、その後自分の制作物とTOEFL取得準備に取り掛かりました。

2. 同大学への入学を決定した理由
英語力をさらに高め、英語で学びたいという希望があったからです。また、日本は比較的技術重視なのに対し、ラサール芸術大学はカリキュラムが創造性重視で近代的であったため、入学を決めました。おしゃれなキャンパスもこの大学を選んだ理由の一つです。

3. 大学で充実している・魅力を感じている点
シンガポールは多民族国家な上に、ラサール芸術大学は留学生が多いため、海外事情に触れられる機会が多く面白いです。自分の視野も広がったように思います。カリキュラムに関しては、自分の専門分野以外のことも学ぶことができました。

私はファッションデザインを専攻していますが、日本の服飾大学ではデザイン画、パターン、洋裁など一般的に”ファッションデザイナー”になるために必要なことを中心に学ぶ一方、ラサール芸術大学ではフォトグラフィーやマーチャンダイジングなど、「業界に出ていかに自分を売り出すか」というメディア・ビジネス寄りの内容も学べるという強みがあります。

4. シンガポールで苦労している点
やはり英語でのディスカッションやプレゼン、エッセイなどに苦労しています。カリキュラムの面では、専門分野外を学ぶ授業が思いのほか多いことが、予想外でした。個人的には自分の関心のある分野だけに専念したいと思うこともはありますが、関連分野を幅広く学びたい人や、専門分野を決めずに学びたいと思う人には、良いカリキュラムだと思います。

5. 卒業までの目標・将来の夢は
自分には技術力など、また学ぶべきことが多々あると思いますので、インターンなどを通して学びを深めていきたいと思っています。

菅原 花和子 さん
大学名: イェールNUS 大学
学部: Liberal Arts (2年生の終わりに専門分野を選択)
出身高校:渋谷教育学園渋谷高等学校

1. 大学出願・進学準備など
Experience Yale-NUS Weekendという、毎年4月に行われる合格者向けオリエンテーションに参加する機会があり、Yale-NUSの良さをますます知った上で進学を決意しました。

2. 同大学への入学を決定した理由
私は3歳から11歳(小学校5年生)までを、アメリカのイリノイ州で過ごしました。

中学生の頃は「アメリカに戻りたい」という一心で海外の大学を目指していましたが、高校に入ってから日本とアジアの良さに気づき始め、高校1年生のシンガポール研修(高校主催の2週間の交換留学プログラム)を機に、イェールNUS大学を受験することを決意しました。

日本人として、そしてアメリカからの帰国子女としてのアイデンティティーのバランスをとれるようになったことは、アジアの大学に進学しようと思った大きなきっかけでした。実際にイェールNUS大学では、アメリカとアジアの教育システムの「いいとこ取り」をすることができます。例えば一般教養の授業では、アメリカの大学の売りの一つである小規模なディスカッションを中心に、アジアとアメリカの文化や根本的な考え方について勉強しています。

3. 大学で充実している・魅力を感じている点
表面的な点ですと、冬服を買わなくても良いことでしょうか(笑)。安くて手ごろなホーカーセンター(シンガポールのフードコート)や、便利な交通機関も魅力です。

また、日本には年功序列など明文化されていない暗黙の日常ルールが多数存在する一方、シンガポールの生活は非常にシンプルで、ストレートです。大学の友人同士では敬語が存在しないため、年齢の上下関係なく、皆と対等でいることができますし、他者の目を気にせずありのままの自分でいることができる気がします。

4. シンガポールで苦労している点
中国語のニーズに関しては想定外でした。大学生活で使うことはありませんが、キャンパスの外では中国語を学ぶ必要性を大いに感じています。

5. 卒業までの目標・将来の夢は
夏にミャンマーの旅行代理店にて消費者マーケティングに携わるなどして、具体的なキャリアについては現在模索中です。リベラルアーツを専攻することの意義は、多様な分野で自分の力を発揮することだと思っているので、自分の興味・関心を探し続けたいと思います。

取材を終えて

学生にとってシンガポールの大学の圧倒的な魅力は、国際性に富んだ環境、即戦力となる実戦的な力(研究力含む)を身につけられる点でしょう。そして馴染みやすい文化や助成金サポートという生活のしやすさも揃っている点だと感じました。アジアにおけるビジネスの成長が著しい中、多様な留学生との人脈作りは、何にも代えがたい将来への財産となるに違いありません。

取材協力:シンガポール教育省

前回のシンガポールの大学特集も公開中!
https://spring-js.com/global/3553/

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