特集記事
英語で学士を取れる日本の大学

国際化が進む日本の教育現場。大学学部の外国人留学生数は年間約7万人を超え、日本人学生の海外留学数も約8万人以上と推計されました※1。2020年に迎える東京オリンピックや、文部科学省による「トビタテ!留学Japan」キャンペーンの浸透などもきっかけとなり、今後は海外旅行先を選ぶかのごとく、国や言語を超えて大学進学先を選ぶことは当たり前となってゆくのかもしれません。

このような社会の変化の中、今多くの日本の大学が「英語で学士号※2を取るプログラム」の充実に尽力しています。Springでは、現在日本の各大学が独自に行っている「英語で学位」の取り組みをまとめました。

※1:独立行政法人日本学生支援機構による
※2:大学の学部を卒業した人に与えられる学位

英語で学士を取れる主な大学一覧(50音順)

私立

大学名プログラム名
慶應義塾大学経済学部PEARL、環境情報学部(SFC)GIGAプログラム
上智大学国際教養学部FLA、理工学部
同志社大学国際教育インスティテュート国際教養コース
法政大学経営学部GBP、人間環境学部SCOPE、グローバル教養学部GIS
明治学院大学国際学部国際キャリア学科
明治大学国際日本学部 English Track Program
立教大学グローバル・リベラルアーツ・プログラム(GLAP)
立命館アジア太平洋大学(APU)国際経営学部(APM)、アジア太平洋学部(APS)
立命館大学国際関係学部 グローバル・スタディーズ専攻、国際関係学部 アメリカン大学・立命館大学国際連携学科、政策科学部 Community and Regional Policy Studies 専攻、情報理工学部 情報システムグローバルコース
早稲田大学国際教養学部SILS、政治経済学部EDESSA、文化構想学部国際日本文化論プログラム(JCulP)社会科学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部

国立

大学名プログラム名
国際教養大学全学部
東京大学 ※教養学部英語コースPEAK
名古屋大学 ※国際プログラム(複数の学部で実施)

一部または大部分英語で授業が受けられる主な大学一覧(50音順)

私立

大学名プログラム名
学習院大学国際社会科学部
国際基督教大学(ICU)教養学部アーツ・サイエンス学科
立教大学異文化コミュニケーション学部DLP、経営学部国際経営学科、社会学部

国立

大学名プログラム名
東京工業大学融合理工学系

取材協力:トフルゼミナール(2017年8月26日現在)、※印はSpring調べ最新情報は各大学に直接ご確認ください。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

英語力を武器に専門性を極める

文部科学省が進める大学の国際化

英語で学士を取れる日本の大学

慶應義塾大学や早稲田大学を筆頭とする名門私立大学では、文部科学省のイニシアチブのもと、英語で学士を取れるプログラム創設が急速に進んでいます。両学は、国内でも特に国際化・国際的に活躍できる人材養成に貢献をしている大学として、文部科学省の「国際化拠点整備事業(Global 30)」(2008~13年度)に選出されました。「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業」とも称される当取り組みは、文部科学省の実施する日本の国公私立大学を対象とした支援事業の1つで、当時全13大学が選定・採択されています。生徒の持ち前の英語力を一つの基盤とし、学問的な柱となる専門性や、物事の全体を俯瞰する包括的視点を養うためのプログラムが注目されています。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

英語による経済学部「PEARL」が慶應義塾大学で始動

専門性の追求を徹底している慶應義塾大学では、16年9月、経済学部においてPEARL(Programme in Economics for Alliances, Research and Leadership)が新たに開設されました。PEARLは、11年9月に開設された環境情報学部(GIGA)に続き2つ目の英語による学士取得プログラムです。元々存在していた経済学部のカリキュラムが、全て英語化されて生まれ変わりました。

英語による経済学部「PEARL」が慶應義塾大学で始動 英語による経済学部「PEARL」が慶應義塾大学で始動

当プログラムの特徴は「経済学」という専門性を支柱に、将来世界規模で活躍できる人材を育成することです。そのため世界のトップレベルの大学との協定強化にも力を入れており、フランスのパリ政治学院における2年留学や、イタリアのボッコーニ大学における1年留学を伏せ合わせたダブル・ディグリー・プログラム※の他、慶應義塾大学経済学士号とHEC経営大学院修士号やパリ政治学院の修士号の双方を5年間で取得する学士・修士プログラムなどが充実。また、16年度4月からは、英語で一般教養教育を行うGIC(Global Interdisciplinary Courses)が始動し、学生は学部の垣根を越えて、総合教育科目においても英語で授業履修ができるようになりました。入試の段階で日本語能力は全く問わず、英語のみで応募。自己推薦文(Statement of Purpose)や推薦状(Letter of Reference)を基にした総合的評価をとっており、学生一人ひとりに備わった真珠("pearl")のような多様性・潜在性を大いに歓迎しています。伝統的ペーパーテストの改善がうたわれ続けてきた大学受験も、そのプログラム自体の多様化によって、日本国外で得た英語力・課外活動を存分にアピールできる場へと進化を遂げていることが伺えます。

※英語名Double Degree Programme。複数の大学が、単位互換制度を活用して、学生に複数の学位プログラムを修了させることにより複数の学位を授与する取り組みのこと。

PEARLでは海外大学の授業さながらの、国内外の学生が熱い議論を英語で交わしている。 PEARLでは海外大学の授業さながらの、国内外の学生が熱い議論を英語で交わしている。

慶應義塾大学

【入試形式】自己推薦文(Statement of Purpose)、SAT/ACT/IB いずれかのスコア、TOEFLまたはIELTSのスコア、推薦状(Letter of Reference)、高校成績証明書を基にした総合評価
【英語プログラム対象学部】経済学部PEARL、他
【入学時期】9月
【募集人数】日本人学生、外国人学生、計100名ほど

教員の多くは海外で学位を取得。推薦状では海外でのボランティア活動など高校時代に行ったさまざまな活動の自己アピールが可能。慶應義塾大学「英語のみで学位が取得できるプログラム」詳細はこちら
https://www.keio.ac.jp/ja/academics/international/programs-offered-in-english/index.html

在校生の声:慶応義塾大学 福地 佳奈 さん

慶応義塾大学 福地 佳奈 さん 慶応義塾大学 福地 佳奈 さん

Q1. 大学入学までの海外経験 、留学経験や英語の学習経験について教えてください。
生まれてすぐから5歳までシンガポールで幼稚園に通いながら幼少期を過ごし、その後帰国し、小学6年生まで日本の市立の幼稚園と小学校に通いました。日本にいた際は特に英語を学んだりはしていませんでした。
小学6年生の時に親の転勤でアメリカへ引っ越し、現地の中学校に3年間と高校1年間だけ通った後、慶應義塾ニューヨーク学院へ進学し、3年間寮生活をしながら全体の7割の授業を英語で受けていました。

Q2. PEARLを志望したきっかけ・理由を教えてください。
日本語による学部に入ってしまうと、中学・高校で培ってきた英語力が落ちてしまうことが不安だったのが1つの理由です。また、今までよりも高度な英語を学びたかったということもありました。

Q3. PEARLで学ばれる中で 、印象的なこと・非常に良かったと思う点を具体的に教えてください。
学生が、日本人だけでなく外国人も多くいたことが特に印象的でした。日本にいるにも関わらず、海外の現地校に通っているような気分です。また、従来の学部は大教室で教授からの一方行の講義が主だと思われますが、PEARLは逆にそのような授業は全くなく、少人数制のものが多いのが良いと思います。教授と生徒間で緊密なコミュニケーションを図ることができ、授業内容について積極的に学ぶことができます。

Q4. 英語で学士を取得後の目標を教えてください。
まだ明確な目標は決まっていないのですが、外資系企業で働きたいと考えています。日本と海外を繋ぐ手助けができるよう努めていきたいです。

在校生の声:慶応義塾大学 久保 航太 さん

慶応義塾大学 久保 航太 さん 慶応義塾大学 久保 航太 さん

Q1. 大学入学までの海外経験 、留学経験や英語の学習経験について教えてください。
私は父の仕事の関係で海外に何度か住んでおり、3歳からポーランドで現地のCanadian Schoolに通いました。その後にワルシャワ日本人学校に入学し、その後小学1年の冬からは、平日はイギリスのLodge School、土曜日には補習校という形で2校の学校に通いました。高校でニューヨークに行く数ヵ月前にはサウジアラビアにも住んでおり、その後ニューヨークで慶應義塾ニューヨーク学院にて3年間を過ごしたのちにPEARLに入学をしました。

Q2. PEARL を志望したきっかけ・理由を教えてください。
将来、世界を舞台にした仕事をするためには、英語での専門的な知識と高い日本語の能力が必須と考えていた中、慶應義塾ニューヨーク学院の学部説明会でPEARLの存在を知りました。 私は慶應義塾ニューヨーク学院にいた頃、経済学の授業を受講しており、経済学にとても興味を持ち始めていました。母国にいて、日常生活では日本の文化に触れ、日本語の能力を磨きながらも、大学では、全ての授業を英語で行い、高度な経済学を学べる慶應義塾大学のPEARLは、私にとって理想的なプログラムであったため、PEARLを志望しました。

Q3. PEARLで学ばれる中で 、印象的なこと・非常に良かったと思う点を具体的に教えてください。
周りの学生の意識レベルと向上意欲が非常に高いということです。普段の授業の中でも本気で知識を身につけ、自分の成長につなげていこうという強い意志がありますし、授業外でも積極的にインターンへの参加やフリーペーパーの作成、チャリティーイベントの開催など、学生個人が自らを高めるために熱心に活動しているというところがPEARLの特徴だと思います。

Q4. 英語で学士を取得後の目標を教えてください。
PEARLで学んだ後には今までの経験を生かして世界を舞台にするような仕事に就きたいと考えています。これまでの人生の中でいくつかの国に住んだ経験が、私の海外への好奇心を刺激し、より一層他の国にも飛び込んで行きたい、という夢ができたからです。また、これまでに培った英語力と日本語力、更にバイリンガル、バイカルチュラルな教育を受けてきたことを活かすことができ、国際貢献できる仕事に就きたいと思っています。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

7学部で英語学位プログラムを実現する早稲田大学

文系・理系の枠にとらわれず包括的な知性を磨くリベラルアーツ教育にも「英語で学士」が浸透しています。早稲田大学では現在、英語で学位を取得できるプログラムを計7学部(政治経済学部、社会科学部、国際教養学部、文化構想学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部)で展開しています。04年に開設されて以来不動の人気を誇る国際教養学部(SILS)は、欧米発祥のリベラルアーツ教育を軸に、多元的な視点・論理的思考力の涵養を目指したプログラムです。教育の共通言語は英語で、日本語を母語とする学生には1年間の海外留学が必修化されています(海外留学中の取得単位は、卒業要件単位へと換算可能)。留学先は英語圏のみならず、世界各国の約400以上の大学などから各自選択します。またSILS自体でも現在、世界50もの国・地域から集まった外国人学生が全体の約3分の1を占め、日本にいながらダイバーシティあふれる環境に身を置くことができます。

海外生・留学生で大学/ビジネスレベルの日本語コミュニケーションに自信がないという学生も、本人の努力次第で日本語での授業科目を履修し、将来のキャリアパスに生かすことができる。 海外生・留学生で大学/ビジネスレベルの日本語コミュニケーションに自信がないという学生も、本人の努力次第で日本語での授業科目を履修し、将来のキャリアパスに生かすことができる。

10年に開講した政治経済学部EDESSAプログラムは、世界でも数少ない政治と経済のハイブリッド・プログラムで、専門を深く追求することができます。在籍する小林理紗さん(4年次)は、イギリス及びシンガポールで教育を受けてきた帰国生。政治経済学部入学を決めた理由として、国際バカロレア(IB)で身につけた経済学の知識をさらに深めたいという「専門性」、また将来国際的な場で仕事をするための「英語力」という2つの魅力を語りました。国境を越えて多数の文化交流が日常生活となっている早稲田大学のグローバルな環境は、海外で教育を受けてきた多くの日本人にとっても馴染みやすい文化に違いありません。

早稲田大学

【入試形式】
英語学位プログラム (AO入試)、日本語学位プログラム(帰国生入試、外国学生入試、グローバル入試)など

【英語学位プログラム対象学部】
政治経済学部、社会科学部、国際教養学部、文化構想学部(※海外学生向けは17年9月開講)、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部

【入学時期】
主に9月(4月入学の有無は学部により異なる)

【募集人数】
学部・入試制度により異なる(例)政治経済学部EDESSA:100名

海外学生は「帰国生入試」と「英語プログラムAO入試」で入学する場合が多く、英語スキルのレベルが決め手になる。SILS以外の学部では、日本語のカリキュラムと英語のカリキュラムがそれぞれ独自で展開されているが、近年双方の単位互換も可能になってきている。早稲田大学の特徴をまとめたサイトはこちら
「Why WASEDA?」
https://www.waseda.jp/inst/whywaseda/

在校生の声:早稲田大学 小林 理紗 さん

小林理紗さん(EDESSAプログラム4年次) 小林理紗さん(EDESSAプログラム4年次)

Q1. 大学入学までの海外経験、英語の学習経験について、教えてください。
小学校6年間はイギリスのロンドンの現地校に通いながら、毎週土曜日に補習校に行き、日本語の勉強をしました。日本に帰国した後に中学・高校へと進学し、高校2年と3年はシンガポールのインターナショナルスクールに通い、国際バカロレア資格を取得しました。

Q2. 大学入学までのタイムラインを教えてください。
2011年9月 資格試験の準備(IB)
2012年2月 資格試験の準備(TOEFL)
2012年5月 進路相談、G30の説明会へ参加
2012年7-8月 志望大学見学、志望校確定
2012年10月 必要書類の準備
2013年3月 出願
2013年4月 書類審査通過
2013年5月 面接
2013年5月下旬 早稲田大学政治経済学部合格
2013年9月 早稲田大学政治経済学部EDESSAプログラム入学

Q3. 英語で学士を取れるプログラムを志望したきっかけ・理由を教えてください。
理由は2つあります。1つ目は、大学でIBで身に着けた経済学の知識をさらに深めたかったため、同じ英語で勉強したほうが良いと思いました。また、ゆくゆくは国際的な場で仕事をしたいと思っていたため、自分が身に着けた知識について外国人と積極的に話せたほうが良いと考え、英語で学位が取れるプログラムを選びました。

Q4. 英語で学士を取れるプログラムで学ぶ中で、印象的なこと・非常に良かったと思う点を具体的に教えてください。
一番良かったと思う点は、プログラムの人数が4月入学の学生と比べて少ない分、圧倒的に教授との距離が近いところです。4月入学の学生は3年からゼミに入るのに対し、9月入学の学生は1年生からゼミに入るため、長い間ゼミで過ごすことになります。興味のある分野において専門性をつけるだけでなく、取るべき授業や進路についても教授が親身に相談に乗って下さるため、有意義な学生時代を送ることができたと思います。
また卒業を控えた今、EDESSAプログラム生の進路を見ると非常に多様です。国内外問わず就職・進学を予定している仲間がいるため、卒業した後もお互い良い刺激になると思います。

Q5. 英語で学士を取得した後の目標を教えてください。
短期的な目標は、来年の春に就職する外資系企業で社会人として成長し、国際的に通用するような人材になることです。長期的な目標は、身に着けた能力を活かして途上国の開発援助や人道支援に携わりたいと考えています。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

立命館アジア太平洋大学(APU)

立命館アジア太平洋大学(APU) 立命館アジア太平洋大学(APU)

【入試形式】
帰国生徒入試、AO入試、 秋期入試。英語基準・日本語基準を選択可。

【英語学位プログラム対象学部】
国際経営学部(APM)、アジア太平洋学部(APS)

【募集人数】
約50名(特に規定せず)

【入学時期】
4月または9月

英国Times Higher Education世界大学ランキング日本版(2017年)「国際性」部門で堂々の1位にランクイン。講義の9割が日英両言語で開講。専任教員は25ヵ国・地域から、学生の半数は世界86ヵ国から集まる。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

立命館大学

立命館大学 立命館大学

【入試形式】
日本語または英語(プログラム・入試方式によって異なる)。海外在住の応募者を考慮し、入試によってはWebでの面接試験にも対応している。

【英語学位プログラム対象学部】
A 国際関係学部
  ①グローバル・スタディーズ専攻 ②アメリカン大学・立命館大学国際連携学科
B 政策科学部 Community and Regional Policy Studies専攻
C 情報理工学部 情報システムグローバルコース

【入学時期】
4月または9月(プログラムによって異なる)

【募集人数】
A ① 100名 ②25名
B 40名
C 50名

世界62ヵ国・地域の420を超える大学・研究機関とのネットワークを活かし、充実した海外留学プログラム制度を準備している。数ヵ月から1年間の海外留学制度のほか、社会科学系学部では、最短4年間で日米2つの学士号を取得できるダブルディグリープログラム(DUDP)も整備。18年4月にはアメリカン大学と連名で学位を授与するジョイント・ディグリー・プログラムを開講。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

国公立大学でも進む学士課程講義の英語化

一方、国公立大学においては、大学独自で国際化が図られています。大学院レベルでの英語プログラムや国際化が進む中、東京工業大学では、学士課程からの国際化を図る先駆的取り組みも始まっています。2016年4月に始動した融合理工学系国際人材育成プログラムGSEP(Global Scientists and Engineers Program)は、英語学位プログラムとして外国人学生を対象にしています。日本人学生も、2年次に融合理工学系コースを選択することで、GSEP学生とともに英語による科目の受講が可能です。必修となるプロジェクトベースドラーニング(PBL)形式の講義は、融合理工学系の日本人学生とGSEP学生が共に英語で議論・研究を進める科目として展開しています。一般入試により入学する日本人学生でも、入学後は1年次からGSEP学生が受講する、英語による一般教養科目を選択することが可能です。現時点では、英語により履修できる科目の多様性が必ずしも十分とは言えない状況にあるものの、今後英語で履修できる科目が増える見込みです。同学では、約9割の学士課程学生が大学院へ進学すること、また、学士課程の後半より研究室制度のもと、本格的な研究活動に関わることができる環境が整っていることも特徴的です。

融合理工学系第1期生(現2年次)はGSEP留学生13名、私費留学生14名、日本人の学生24名からなる。GSEP学生の国籍は、タイ、インドネシア、モンゴル、ベトナムなど。 融合理工学系第1期生(現2年次)はGSEP留学生13名、私費留学生14名、日本人の学生24名からなる。GSEP学生の国籍は、タイ、インドネシア、モンゴル、ベトナムなど。

東京工業大学

【入試形式】日本語入試(一般入試、センター試験利用)
【英語学位プログラム対象学部】融合理工学系
【入学時期】4月
【募集人数】数十名ほど(第6類あるいは第4類に入学する必要あり)

1年次の必修科目(数学系4科目、物理、化学、生物、教養科目「立志『visionary project』」、社会学、哲学など)を英語で受講可能だが、日本語により開講される科目の選択肢の方が多い。2年次からは、GSEP学生とともに英語の講義を選択可能。融合理工学系の学生は、工学の各分野に共通する普遍的知識を学びつつ、多国籍の学生で構成されるグループワークなどを通じて、マネジメント能力やコミュニケーション能力の高いグローバルエンジニアのフロントランナーとなることが期待されている。

 

在校生の声:東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 小林 萌さん

Q1. 大学入学までの海外経験 、留学経験や英語の学習経験について教えてください。
小学2年生の9月から小学3年生の9月まで、アメリカ合衆国ボストンの現地校に通っていました。帰国後は半年ほど、英会話教室にも通いました。

Q2. 大学入学までのタイムラインを教えてください。
28年1月東京工業大学4類 出願
28年2月東京工業大学4類 受験
28年3月東京工業大学4類 合格
28年4月東京工業大学4類 入学

Q3. 東京工業大学の融合理工学系を志望したきっかけ・理由を教えてください。
環境・社会理工学院は自分が将来すすみたい進路に近く、他の系で専門を極めるより、融合理工系の目標に自分は向いていると思ったので志望しました。また、留学生が沢山いると聞いて、留学生の友だちを作りたかったのも理由です。

Q4. 東京工業大学の融合理工学系で学ばれる中で 、印象的なこと・非常に良かったと思う点を具体的に教えてください。
授業前も授業中も、クラスが賑やかです。男女関係なく会話をしているのが一年生での授業と大きく異なり、驚きました。融合理工系に入ってよかったと思える理由の大きな1つです。個々の意識が高く、自分の仕事量をやりがいと考えて、積極的にチーム内で仕事を行う姿に刺激を受けます。授業中は質問が飛び交い、授業を生徒側で作っているような雰囲気で、どんな授業も集中して受講できました。
全員が第2ヵ国語として英語を話しているので、英語が理解しやすいです。たまに英語で英語を皆で学ぶ時があります。

Q5. 卒業後の目標を教えてください。
自分にしかできないことを創り出し、世界を飛び回って発信するような職業につきたいです。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

受け入れ大学側の終わりなき挑戦

「専門性」も「英語力」も強く求められるこれからの時代、2兎を追って2兎を得るための終わりなき挑戦は、生徒だけでなく、むしろ生徒を受け入れる大学にとっても大きな課題と言えます。 英語によるプログラム実施の予算や教員の確保、カリキュラム編成など、今後の課題が浮き彫りとなっていることも確かです。それでも、「20年の大学入試改革とともに、英語で学位を取れる大学はさらに増加するだろう」と、英語学位の大学進学を指導する、トフルゼミナールの林貴之 所長は語っています。今後の動向に目が離せません。

取材先(※各大学名をクリックすると詳細ページに移動します): 
慶應義塾大学早稲田大学立命館アジア太平洋大学(APU)立命館大学東京工業大学

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