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帰国受験の今 ~2017年の中学・高校受験を振り返る

2017.06.23

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海外駐在の多くのご家族にとって、いつかは訪れるのが「本帰国」です。海外生活を満喫しながらも、いざ帰国が決まった時に慌てないために、今号では「帰国受験の今~2017の中学・高校受験を振り返る」を特集します。日本の教育現場ではどのような学びが重視され、各学校は海外生に何を求め、受験はどのように変化しているのでしょうか。 帰国受験を熟知する、日本・シンガポールの学習塾9塾にSpringが取材しました。

帰国受験の今 ~2017年の中学・高校受験を振り返る(PDF版リンク)

【Springウェブサイト限定!】
次ページ以降では取材にご協力いただいた日本とシンガポールの学習塾からの詳細回答をお届けします。

日本・シンガポールの学習塾に聞きました。

取材協力 (敬称略、アルファベット順) enaシンガポール、KOMABA、馬渕教室、ORBIT ACADEMIC CENTRE、SAPIX国際教育センター、 駿台シンガポール校、WAOシンガポール、早稲田アカデミー国際課、早稲田アカデミーシンガポール

Q1. 帰国受験で、最も気になった最近の変化は?

1位 中学受験での英語入試の増加

回答抜粋(9塾のうち8塾が言及)

  • 帰国枠入試だけでなく、一般入試でも英語力重視へ
  • 2018年は英語入試が首都圏では更に増加すると思われる
  • 英語入試の難易度が上がった
  • 帰国枠の条件が緩和された(帰国時期、滞在年数など)
  • 英語力のある一般生も受験可能に

小学校での英語教科化や、大学入試の外部英語試験導入などの動きを見据えて、グローバル人材に必須の「英語」が、中学入試でも導入される傾向が顕著です。

首都圏の英語入試実施校数の推移(資料提供:首都圏模試センター)/英語入試を実施 30%: 1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の私立中289校のうち約30%が英語入試を実施(2017年現在)

  • 首都圏の英語入試実施校数の推移(資料提供:首都圏模試センター)
  • 英語入試を実施 30%: 1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の私立中289校のうち約30%が英語入試を実施(2017年現在)

2位 入試が多様化

回答抜粋(9塾のうち6塾が言及)

  • 試験形態の多様化(思考力入試・プレゼンテーション入試)
  • 面接や作文の実施で「思考力・判断力・表現力」を重視
  • 多様なバックグランド、能力を評価しようとする学校の増加
  • インター生、日本人学校生の両方を対象にする学校の増加

2位 更に受験しやすい体制へ

回答抜粋(9塾のうち6塾が言及)

  • シンガポールで入試を行う学校の増加(海外生でも受験しやすく!)
  • ウェブ出願方式採用校の増加(海外生でも受験しやすく!)
  • 日本国内で午後入試の増加

Q2. 帰国までに取得すべきおすすめの資格試験は?(複数回答、トップ2の集計結果)

1位 英語検定 (9塾)(英検は圧倒的な支持。)

一般受験では英検3級程度から準2級が目安になるが、多くの帰国受験では2級が最低ラインか。準1級・1級取得者も多数。ただし難関校になると1級取得者でも英語試験で不合格になることも。

2位 漢字能力検定(5塾)

3位 TOEFL(4塾)

早稲田アカデミーシンガポール「漢検で語彙力増強を」

  • 学年相当の漢字を海外で身につけることが重要。
  • インター校生であっても、英語力を磨きつつ平行して日本語とのバランスをとることが帰国前に必須と確信している。語彙力の強化となり国語の読解力の足腰となる漢検への挑戦は良い指針になる。
  • 英米圏での在住経験を持つ受験生にシンガポールの生徒が勝つためには、漢検や数検といった「3科目でのバランスの良さがもう一つの鍵になる。

ORBIT ACADEMIC CENTRE「TOEFL、TOEICもおすすめ」

  • 受験のための資格取得、という目的での英語学習では あまり意味がないため、受験はもちろん、受験後にも役立つ(≒汎用性が高い)資格としてアカデミック性・実用性の高いTOEFL、TOEICもすすめている。
  • インター生を中心に英語に強い生徒は、英検用の対策をしなくても受験時に英検2級(高卒レベル)を既に取得している生徒が多いことも理由。

馬渕教室「地域的な特徴も」

  • 関西では資格試験を考慮する学校が未だ少ないのが現実。
  • その中で、英語優遇措置をとる学校の8割は英検を基準としている。

Q3. 帰国受験をする際のアドバイスは?

enaシンガポール

「海外入試は10月・11月から。模試を活用しよう。」
海外での現地入試も含めると10月や11月から入試は始まります。帰国生に残された時間はそれほど多くありません。海外で日本の中高受験に向けて勉強している生徒さんには、最低限「模試の受験」を推奨します。十分な勉強をしていないからと言って模試を回避したがる生徒さんもいますが、模試は「学力の健康診断」でもあります。自分の課題が明らかになり、受験を乗り切る第一歩になるでしょう。

KOMABA

「進学後の学校の取り組みに注目。」
日本の教育現場の「入り口」情報ばかりでなく、進学後の学校の「取り組み」にぜひ注目してください。単に「英語力の高い帰国生を受け入れている」というだけでなく、帰国生の多様性を学校現場で活かそうという校風であるかどうか、お子さまの個性を伸ばしていけるか否かという点が、ますます大切になると思います。

馬渕教室

「常に目標校を持とう。関西の高校受験は5教科を準備。」
中学受験においては、「志望校合格」はゴールです。ゴール地点が分からないのに走り続けられるような精神力の強い小学生はそうはいません。だからこそ、常に目標校は持っていただきたいと思います。 関西に戻られる場合は、帰国生入試の枠そのものが少ないこともあり、私立も公立も一般入試を選ばざるをえないケースがあります。したがって高校受験では5教科(英・国・数・理・社)をきちんと学ぶ必要があります。

ORBIT ACADEMIC CENTRE

「海外生活は人生最大のアドバンテージ。」
長い人生を考えた時、多感な時期をシンガポールで生活できることは、ますますグローバル化が進展する時代において、人生最大のアドバンテージになります。「帰国枠資格が使えるうちに帰国して中学受験」という発想は捨てる勇気を持ち、「シンガポールに居られるだけいた方が良い」という発想への転換をして欲しいと考えています。豊かな海外体験がそのまま面接・作文対策につながるでしょう。

SAPIX国際教育センター

「難関進学校にチャレンジする帰国生も。」
ここ数年、難関進学校にチャレンジする帰国生が増加しています。インターネット環境など学習環境の向上により、最上位生にとっては高校受験で理社を含めた5教科受験が一般的になりつつあります。在外中にはいろいろな経験や活動を通して、豊かな感受性・人間性を身につけ、一時帰国中は一般生徒と一緒に季節講習などに参加し、一般生のレベルや学習量を肌で感じておくと良いでしょう。

駿台シンガポール校

「海外生活の意義や志望校について、親子で話し合う。」
第一志望を比較的早い時期に決めることが大切です。その際には帰国先の状況やご家庭の教育方針、お子さまの性格を踏まえてよく話し合うことです。その上で、学校見学をすることが大切です。面接対策の基本として、シンガポールという国に滞在したことの意味について、保護者の方も一緒に考え、話し合ってみることが必要だと感じます。

WAOシンガポール

「志望校選びには通学時間も重要。バランスのとれた生活を。」
志望校の選び方としては、周囲の評判ではなく、お子さまやご家庭の方針に合っているかという視点で見極めましょう。ドアtoドアで通学が1時間以内で収まる学校を選ぶことも重要で、通学時間は短ければ短い方が良いと思います。受験生活においては、学習だけにとらわれるのではなく、スポーツ・習いごと・家族行事などをバランスよく取り入れ、面接時の話題をまとめておきましょう。

早稲田アカデミー国際課

「中学受験は努力することの貴さを学ぶ。高校受験は本人主体に。」
保護者ばかりが一生懸命になって「とにかく受験する」という態勢は良くありません。中学受験は、学ぶこと、努力すること、目標に向かって頑張ることの貴さを知るためのツールとして考えていただきたいと思います。海外にいて学校見学が難しい時にも「保護者が気に入った中学」の価値をいかにお子さまに伝えるかが大きなカギです。高校受験は中学受験と違い「本人主体の活動」と捉え、自分の可能性を切り開くという意識を持つと良いでしょう。

早稲田アカデミーシンガポール

「スケジュールの選択と集中。苦手科目の徹底学習を。」
さまざまな入試制度の変化が注目を集めていますが、これらの変化は受験者視点で考えると「準備の負担が増える」ことも意味しています。皆がやっているからという理由でさまざまな習いごとを増やし続けると「帰国受験も、一般枠受験も、スポーツも、資格も、現地体験も」というスケジュール破綻に陥ることになりますので、やはり選択と集中も必要です。受験学年の夏までは苦手科目をとことん頑張り、夏以降は得意科目のウェイトをあげてください。

Spring編集部より

首都圏模試センターの調べによると、首都圏1都3県の中学受験者数は2015年より3年連続で増加しています。また、世界の中でもアジア諸国での小学生・中学生の在留邦人数は過去10年間で増加の一途をたどっています。日本国内の子どもの数が減る中、海外生は今後ますます増えることが予想され、日本の学校も海外生への門戸を更に広げる傾向にあります。

学力だけでなく、海外生活の多様な体験を重視する学校が増えていることも、海外生にとっては朗報です。入試動向は急速に変化し、多様化がますます進むでしょう。

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